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草の響きのkyokoのレビュー・感想・評価

草の響き(2021年製作の映画)
3.8
地を蹴る規則正しいリズムが心の均衡を保つことを妄信する中にふいに訪れた平穏な時間は所詮まやかしであったのか。巣食っていた焦燥と恐怖は、やがてなにも背負わない友の身軽さに対して己が背負わされたものの重さに耐えかねた和雄を襲う衝動と化す。
心を病んでしまった人に寄り添うことは難しい。
他人でありながら、いちばんの理解者でありたいと願う夫婦ならなおさら。
同じ景色を見ることも叶わぬまま疲弊したふたりに、希望は残されているんだろうか。
せめて絶望したことに絶望しないでほしい。

心の病が引き起こす身勝手さ無神経さと走りのフォームの美しさは、東出昌大にとてもよく合っていたなと思う(他意なし)。
特に、アダムドライバーには歌わせとけ、と同じくらいに、東出は走らせろと思われてるのか、彼はいつも走っている気がする。
奈緒ちゃんのお団子すっぴんメガネがめちゃくちゃかわいい。
あとニコニコのニコちゃんも。

走る和雄とあるところから交わった高校生たち。函館の街の輪郭をなぞるようなスケボーの疾走感から始まって、その後の展開にも関わる結構重要な存在のはずなんだけど、ちょっと下手すぎて何言ってるか分からない。主役ふたりにも「芝居をするな」と監督は言っていたようだけど、素人すぎるのは違うでしょ。あとどんだけ姉ちゃんモデル体型よ。

ほかにもいろいろと引っ掛かりポイントはある。
ラストも含め既視感ありのシーンが多いような。
終盤になればなるほど和雄のセリフが空々しく聞こえるのは狙いかなあ。
病院の対応、あれは正解なの?
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