ろく

決戦は日曜日のろくのレビュー・感想・評価

決戦は日曜日(2022年製作の映画)
3.7
どっちがおかしいの。

落語に一眼国という話がある。一つ目の国があるので観光にいったら捕まってしまい、その国で「二つ目」の人間だということで見世物にされてしまったという話だ。

この映画もそう。最初は宮沢りえが「おかしい」。「各々」を「かくかく」と読んだり右翼が喜ぶようなことを平気でいったり反対派の人間に飲み物を配ったり。

それに対して右往左往する秘書やスタッフ。わたわたわた。でも映画が進むうちに……

日本の選挙の一番の問題って「受かる」ために努力は惜しまないけど受かってからの事は全く考えてないってことなの。そしてそのための慣習や決まりがあってそのために人が働いている。窪田だって言っているじゃないか。「もう今更やめられないんです。みんなこれに大きなお金をかけているんです」

でもおかしいよね。それって。政治はもともと「何をやるか」。あくまで国民の「代表者」なのに自分たちのためだけに「政治」をやっている。だからこの映画は「おかしい」。宮沢りえがおかしいのでなく周り全体がおかしいの。宮沢はほんと正論を言っているんだよ。

それに窪田まで気づいてしまう。だから窪田のコーヒーはいつのまに「とんでもなく不味い」ものになっている。それでもまずいコーヒーのために政治をやりますか?みなさん?それは監督のメッセージだと思う。

小さい映画だけど満足。ただ一つだけ不満も(それはこの映画とは関係ないことだけど)。ちょうどウクライナの「国民の僕」(ゼレンスキー主演)を視聴しているのだけど(面白い!やっと8話まで観た!)それに比べると日本の政治映画やドラマって「巻き込まれ」型で出てくる人は基本「何かしたい」わけでない政治家なのよ(「私はやってません」も三谷のドラマも)。でもそれって政治の本当の部分でないよね。だって「政治家になって国民のためにこうしたい」ってのが本当じゃん。でも日本はそんなことを言ってしまうことさえ「恥ずかしい」ことになっているの。だから冷笑なんだよ。

でもその冷笑で日本は良くならない気がするんだけど。困ったなぁ。
ろく

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