ゆみな

三人の女のゆみなのレビュー・感想・評価

三人の女(1977年製作の映画)
4.2
これはザワザワモヤモヤする映画ですよ!もうね、始まりから終わりまでずーっとぼんやりとした霧の中にいる感じ。何かがズレてる気がするんだけど、それが何かはわからない。白昼夢って言葉がいちばん合うのかもしれないね…常に違和感があるんだよ。

田舎娘のピンキー(シシー・スペイセク)が新人療法士として温泉療養施設で働き出すとこから話は始まるんだけどね、その教育係に任命されたのがミリー(シェリー・デュヴァル)なの。出会ってすぐにミリーに惹かれて子犬のように懐いて追いかけ回すピンキーが不気味…まるでストーカー。ちょっと観てるとすぐに理解できるんだけど、ミリーは決して憧れを抱くような魅力的な女性ではないんだよね。職場では空返事の同僚にひとりで喋り続けて、男漁りに躍起になるも誰も捕まらず、それでもモテる自分を演出することに必死で、うまくいかないと全てピンキーのせいにする。嫌な女で周りに避けられ裏じゃバカにされてるのも当たり前なんだよね。でも、ピンキーは彼女を羨望の眼差しで見つめ、彼女になりたくてたまらない。ほら、めっちゃ違和感感じちゃう。

あんまり書くとネタバレ全開になっちゃうからやめとくけど、とにかく中盤からの展開が面白くて!
なんかさ、やっぱりあのプールで死んで生まれ変わったって事なのかなぁ?妊婦のウィリー(三人の女のうちのひとり)が一番に助けにいったじゃんね。その時に赤ちゃんの命を貰っちゃったのかな…とかも考えた。自分がいちばん生まれ変わりたかったミリーになることで、両親のことも忘れたとか……でも、あれ両親にしては歳取りすぎだよね~。全くの別人だったらマジでおかしいし…。
元はといえば2人は同じミルドレッドって名前なんだよね…ミリーのオルターエゴかなぁ…とも思うけど…うーん。考えれば考えるほど迷走してしまうので、たぶん答えはあんまり考えなくていいんだと思うわ。

三人目の女ウィリーの存在がなんか薄い気もするんだけど、ほとんど喋らない彼女が描く絵がなんか真相っぽくも見えたり。彼女のお腹の中の子もこの関係に深く関わってる気もする。なんかラストはそういう風に落ち着くのかぁ…って、やっぱり白昼夢のまま終わった感じはしますね。
ただ、こういう映画に出会うことってなかなかないので、ちょっと今は興奮冷めやらない気持ちが続いてます。いや~、観てよかった。この気持ちのまま眠ったら、私もピンキーみたいに変な夢見ちゃいそうだな。それはそれで面白い。
ゆみな

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