みーちゃん

ひまわりのみーちゃんのレビュー・感想・評価

ひまわり(1970年製作の映画)
4.5
過去に何度か観ているけれどスクリーンは初めて。“50周年HDレストア版”を観ることができて、本当に良かった。

ストーリーは知っているからオープニングで早くも、一本一本のひまわりが、まるで一人ひとりの人間のように見える。アップになった花は、一瞬、人間の顔のように見えて怖くすら感じる。そこにヘンリー・マンシーニの音楽が重なり心を揺さぶられた。そしてソフィア・ローレンの顔立ちやスタイル、マルチェロ・マストロヤンニの色気や人間味に溜息が出る。これらは劇場でしか味わえない体験なので嬉しかった。

それだけじゃない。私の中で号泣ポイントが更新された。昔はソ連での別離シーンがクライマックスだった(それは今回も同じで、それこそ汽車の中のジョバンナと同じくらい泣いてしまう)。その前、カチューシャを見た瞬間、全てを察して顔を歪めるシーンにも打ちのめされる。

でも本当に泣いたのはその後、アントニオがミラノを訪れる、今生の別れ。

若い頃は「もう一度やり直そう」と言うアントニオに身勝手さを感じた。ジョバンナには憐れみを感じた。だから、いっそソ連での別離をラストにした方がドラマチックだと思ってた。

しかし今回はそうではなかった。最後のミラノのシークエンスで、ジョバンナはアントニオに捨てられた可哀想な人では無くなった。選択肢を与えられた上で、互いに合意して、主体的に別々の人生を歩む決断をした二人になった。

それが、戦争という、個人ではどうしようもない事であったとしても、自分が望んだ道では無かったとしても、運命(他者)の所為では何も解決しない。自分が選んだ人生を進むしかないし、その道でも自分次第で幸せを築くことはできる。いや、築くしかないんだ。という、この状況そのものが、深く胸に迫まり、レビューを書きながら、また泣いた。