ゴン吉

ひまわりのゴン吉のレビュー・感想・評価

ひまわり(1970年製作の映画)
4.8
戦争によって引き裂かれた男女の愛と悲劇を描いたヒューマンドラマ。
ビットリオ・デ・シーカ監督作品で、ソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニが共演。 

第二次世界大戦中のイタリア。
アフリカ戦線への出兵を控えた彼氏。
結婚すると12日間の休暇がもらえ、出兵を延ばすことができるため、
それを口実に二人は結婚する。
二人は限られた12日間を幸せいっぱいに過ごす。
その後、夫の精神病を装い、兵役を逃れようとするが病院で仮病がバレてしまい、極寒のロシア戦線に送られてしまう。
夫は戦地で行方不明になって帰ってこない。
しかし彼女は諦めきれず、終戦の後、情勢が安定してから、夫を探しにソ連に旅立つ。
しかし彼女を待っていたのは、辛い現実。
果たして彼女が知った真実とは……

画面いっぱいのひまわり畑の映像で始まり、画面いっぱいのひまわり畑の映像で終わる。
作品前半は仲の良い二人がユーモアを混じえながら描かれていて微笑ましい。
南国の美しいナポリの海岸で二人が戯れて、彼女が耳にしていた純金のイヤリングを彼氏が飲み込んで喉を詰まらせてしまい、塩辛い海水で飲み込むなどクスッと笑わせてくれます。
作品中盤は極寒のソ連戦線が舞台。
赤いソ連の国旗を背景にモノクロの戦争記録映像を被せて流すなどの二重映像技法が色彩的にも素晴らしい。
そして後半で描かれる戦後の悲劇が心に刺さります。
画面一面の大地の広がる夥しい数の十字架が印象的。
二度のミラの駅からの旅立ちが効果的に演出されます。
素晴らしい旋律の音楽に加えて、心にしみるラストシーンで、観終わった後も余韻がジーンと残る名作です。
「戦争とは過酷なものだ 本当にひどいものだった 実に過酷で実に悲惨だった なぜこんなことに?」  

2022.8 NHK BSP で鑑賞(字幕:椎名敦子)
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