ひでやん

ひまわりのひでやんのレビュー・感想・評価

ひまわり(1970年製作の映画)
3.9
辺り一面、果てしなく広がるひまわり畑と哀しげなテーマ曲で戦争で引き裂かれた夫婦の行く末を描く。

ロシア戦線に送られた夫の帰りを待ち続けるジョバンナ。戦争が終わっても帰らない行方不明の夫を捜しにソ連へ行く。

米ソ冷戦当時、欧米初のソ連ロケを敢行して撮影された。監督はヴィットリオ・デ・シーカ。「自転車泥棒」では盗まれた自転車を探しまくったが、「ひまわり」ではソ連で夫を捜しまくる。

長年夫の帰りを待ったジョバンナは年を取り、白髪混じり。行く先々で写真を見せて辿り着いた場所には悲しい結末があった。

誰も悪くない。悪いのは戦争だ。しかしアントニオよ、イタリアに行っちゃダメ…。悲哀たっぷりのラストだ。

デ・シーカが撮る映像で印象的だったのは、列車の車窓を見るシーンと、部屋の窓から教会を見るシーン。窓の外を見るソフィア・ローレンの顔を外側から撮っている映像。もうひとつ、はためく旗越しに見える過酷な戦争シーン。こういう撮り方もあるんだね。
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