1967年、ミネアポリス。コーエン兄弟の出身地を舞台に、年代も兄弟の子供時代とほぼ同じ。ユダヤ人の社会を描いた自伝的要素を含んだ作品。
ユダヤ教を知らないのでなかなか理解しがたいけど、コーエン兄弟流のコメディとして楽しめました。
主人公のマイケル・スタールバーグさん、追い込まれていく役が似合ってました。監督はマイナーな役者を使いたかったんだそうです。
身に降りかかる出来事をあるがままに受け入れよ
ーーーーラシ(ユダヤ教徒のタルムード学者)
冒頭のこの言葉どおり、大学の先生で妻も子もあり、真面目な男ラリーが次々と災難に見舞われるストーリー。
神を信じて善人でいても不幸は起きるという、世の中の道徳観や宗教観の真反対のことを救いもなくブラックに描いているのが面白かった。
📌📌📌📌📌📌📌📌📌📌📌📌📌📌
と、ここでラストの展開など、コーエン兄弟の意図があまりにもわかりにくかったので町山氏の解説に救いを求めてみました。
ヨブ記を元にしている内容とのことです。
さらにWikiで調べると、ヨブ記は「正しい人に悪いことが起きる。すなわち何も悪いことをしていなくても苦しまねばならない」という恐ろしい内容の文献なのでした。
この世に起きることは神にしかわからないから、人間が理由など求めても無意味だと。
ユダヤ教の教えって厳しい…
ジェファーソン・エアプレインの曲がうまく使われていたのですが、町山氏いわく、この曲の歌詞にラリーがどうやったら幸せになれるかの答えがあるとのことです。
ここまで含めてのコーエン兄弟のシニカルなコメディ、さすがです。
最後に救いはあったんだとホッとしました。