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シリアスマンのmiiのレビュー・感想・評価

シリアスマン(2009年製作の映画)
3.7
「身にふりかかる出来事を ありのままに受け入れよ」と
冒頭で言っています。

主人公は 大学教授をしているユダヤ人のラリー。
突然妻が離縁状を!と切り出してきたり
終身在職反対の投書が大学に送られてきたり
息子の単位が欲しいために賄賂を渡す親からの脅迫など
彼の人生 青天の霹靂だらけ。

災いが降りかかると 彼はラビ(ユダヤ教に於いての宗教的指導者。聖職者でもあるような存在)に会いに行く。

そのうちにラリーは
悪夢にうなされ 現実か夢かも分からなくなってくる。

ラストに至っても
冒頭で受けたX線検査の結果電話が入り
すぐに来てほしいと。
これは 疑心暗鬼になるよね(笑)
その頃外では竜巻警報が出て 黒雲が立ち込めてるし···

苦難の連続だ(笑)

とはいえ 暗いお話に見せないのが
コーエン兄弟の手腕です。

さて···冒頭のシーン。
あのラビであったって チフスで死んでしまうし
彼が悪霊でなかったとしても
「神のみこころ」として突然刺される事もある。
不幸は誰にでも起こり得る事。

ラリーがラビにいくら不幸の解決策を乞うても
安心するだけ。
歯科医師の歯の裏の謎の話をされるだけ(笑)
考えても考えても 結果は謎で分からないし
変わらない。
一時 心が休まるのなら それでも良いかもしれないけどね。
歯の話は ラビの策だったのかもね。

そして 不幸の連続だった時のあの賄賂は
「神のみこころ」なのだと受け止めてしまえばいい。
善良である殻を破ってしまえ!
妻の再婚相手サイの事故だって 「神のみこころ」なのかもよ。
(ごめんね サイ)
もしかしたら ラリーが彼のようになっていたのかもしれないのだから。
mii

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