ワンコ

親愛なる君へのワンコのレビュー・感想・評価

親愛なる君へ(2020年製作の映画)
4.2
【どこまで深く人を愛せるか】

もしかしたら、同性愛者であることを隠して、子供も産まれ、何ら変哲のない家族として生活している人は多いのかもしれない。

このノン・バイナリーの主人公ジエンイーを中心に展開する物語は、様々な状況が絡み合って複雑で切ない。

だが、“暖かく”複雑で切ないのだ。

養子になったヨウユーの気持ちの揺らぎ。

義理の母シウユーの苦悩と変化。

冒頭に述べたところに戻るが、ジエンイーのリーウェイに対する後悔と、誓い。

これらが、事件を通じて明らかになっていく。

台湾の自然も、物語を包み込むようで良い。

ノン・バイナリーのジェラシーは多くの人と同じで、だが、人を愛する深さは深いのかもしれないと考えたりするし、この作品は、人のこうした気持ちの揺らぎや変化にフォーカスを当てた佳作だと思う。

実は、ノン・バイナリーだとか考えないで人の物語として観る作品のような気がする。
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