【マリアの首】
この作品は、何度も再演され、岸田賞も受賞している有名な戯曲「マリアの首」を映画化したものだ。
だが、残念ながら、過去に観た、映画と舞台を融合させたような実験的な作品や、映画なんだけど舞台を観ているような錯覚が心地よい作品という水準にまで達しているとは思えなくて、改めて戯曲の映画化には工夫が必要だなと考えてしまった。
この何度も再演された舞台を映画として記録して公開した方が良かったのではないかとさえ考えてしまう。
偉そうに、すみません。
あと、僕個人としては、実際に被曝し壊れたマリアの像、つまり、マリア像の頭部は、信者の代表者や、大学の先生などによって大切に保管され、後に、天主堂に返還され、バチカンも訪れるなどしていることを知っていたことも影響してしまったかもしれません。
ただ、浦上第四崩れの話と、原爆遺構として、旧天主堂を残そうとする積極的な動きが出てこなかったことは、カトリック信者に対する差別が、ずっと残っていたことが大きな理由だろうと再確認させられて、より多くの人々が知るべき物語だとは思った。