ロアー

その年、地球が変わったのロアーのレビュー・感想・評価

その年、地球が変わった(2021年製作の映画)
5.0
48分と短い作品ながら、得るものがとても多い映画でした。

ロックダウンによって大気や海が綺麗になったと言う話はニュースになっていましたが、その実際の変化を美しい映像で教えてくれる作品。
もし自然界に人間がいなかったら、、、という今まで仮説でしか語れなかった論理が、地球規模で初めて実験・観察・実証され、このコロナ禍が大きなチャンスにも繋がっていたというドキュメンタリーです。

環境問題だけでなく動物の減少についても取り上げていて、動物好きとしてはちょっと衝撃でした。ハンティングや有害なゴミが動物を絶滅に追いやっていることは勿論分かっていたけど、私たち、もはや生きているだけで動物に大迷惑かけてるんだそう。人間がいることによって生じる騒音が、いかに動物の繁殖に影響していたのか全く理解していなかったので、なかなかショックでした。観光客が減って鹿せんべいをもらえなくなった奈良の鹿も登場していましたが、人間がいないと鹿が困るだなんて勘違い甚だしくて、動物は私たちよりももっとずっと賢く逞しい。

コロナ禍で不便を強いられ早く元の生活に戻りたいとばかり考えていたけど、これらの貴重なデータを元に、むしろ人間は元通りの生活ではなく地球環境も含めた新しい生活様式を考える時代が来たんだと深く実感しました。いくら何でも人間は地球を独占し過ぎ。休肝日のように、地球にも休人間日がなければどんどん悪化するのは当たり前のことで、環境問題のすべての元凶って実際そこですよね。だからと言ってすべてを変える必要はなく(できる訳もなく)、ただもう少し人間が奪ってきた場所や時間を動物や自然に返して地球を休ませる。それだけで環境問題はぐっと改善するんじゃないかという希望が見えてくる作品でした。
もうこの映画、現代を生きる人間の必須科目にした方がいいと思う。
ロアー

ロアー