いつもいっちゃん

ベネデッタのいつもいっちゃんのレビュー・感想・評価

ベネデッタ(2021年製作の映画)
5.0
ポール・ヴァーホーヴェン監督の新作。
いやはやヴァーホーヴェン監督、84歳ですよ!?
ちょっとまだまだパワフル。
映画のセット、重厚さが素晴らしい。

キリストの遣いとして成り上がっていく修道女ベネデッタ。
彼女の体に聖痕があらわれたこと、また予言が的中していくことからその地位が確立されていくのだが、、、
キリストの遣いとして崇められていくと同時に、レズビアンであることで教会側から糾弾されていくことにもなるベネデッタの姿を決して聖女として描かない。
1人の性を感じる女性として描いたのも真実か嘘かを決めかねる要素になっていて惹きつけられる。
ペストが蔓延する中、予言による力が加速する。
また宗教の脆さも描いたタブーも効いてくる。
ヴァーホーヴェンらしい残酷描写とエロスは今回も過激で鮮烈。
R18+指定を食らうのも納得。
もはやこれだけやる84歳の映画作家も中々いない。
流石、物議を醸し紆余曲折してきた巨匠だけある。
そしてやはり修道院の肩身の狭さや、おどろおどろしい場面も際立つ。
あの拷問シーンは血の気が引く。
何だあのホラー演出。叫び声がえげつない。
しかしそれほど演技の迫力があった。

教会側の抑圧とそれに動じない新しい映画ヒーローであるベネデッタ。
史実から生まれながらも、また先を描いた現在進行系である巨匠のパワーに圧倒される傑作。
そしてシャーロット・ランプリングは凄い女優、、、。