TaichiShiraishi

べイビーわるきゅーれのTaichiShiraishiのネタバレレビュー・内容・結末

べイビーわるきゅーれ(2021年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

これまでもえげつない内容とコメディを融合させてきた坂元監督の最高傑作となったのではないだろうか。


女子としても普通に魅力的な2人が、共同生活で激ゆるグダグダなやり取りを繰り広げて、しかも血も涙もない殺し屋という設定からしてもうたまらない。


他人を傷つけたり見下したり、そんな他人から全く相手にされなかったり、そんな誰でもある青春の一ページを殺し屋が過ごしたらどうなるのかという設定が、無限の笑いと萌えを生んで、永遠に見ていられるような気がしてしまった。


言葉の芸達者さは高石あかりが担当し、ひねくれ少女を嬉々として演じて笑をかっさらい、コミュ障で無口で人嫌いな相方をスタントウーマンの伊澤が演じていてそのアンサンブルも見事。そんな伊澤は演技の経験不足をすさまじいアクションスキルで補っていた。


そんな社会不適合少女たちの日常に絡んでくるやくざたち、それに雇われている殺し屋同業者、死体処理屋、メイド喫茶の変な同僚たち、みんな絶妙なとぼけた味わいで、オフビートに笑を取っていって飽きさせない。


ただ単に会話の緩さだけでなく阪元監督お得意の人の死も平気で笑いに帰るブラックなセンスも炸裂している。


そしてそんな緩い雰囲気からいきなり始まるプロフェッショナル同士の超絶ハイレベルな殺し合い。


クライマックスの知る人ぞ知る名アクション俳優・三元雅芸と伊澤の本当に殺しあっているようにしか見えないハイスピードかつ痛そうでリアルな肉弾戦は、普段何本もハリウッド製アクションを見ている筆者でも驚いてしまった。アクションの手数自体は少ないが、岡田准一の『ザ・ファブル』シリーズも瞬間的にしのぐようなハイレベルさ。


この切り札を隠しておいてここぞ爆発させる粋な緩急もたまらない。


アクションとしてもコメディとしてもキャラ萌えモノとしても完璧なバランスの新しい傑作。劇場でみんなで爆笑しながら見てほしい。
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