ミミック

こちらあみ子のミミックのネタバレレビュー・内容・結末

こちらあみ子(2022年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

あみ子の成長を見守りたいと思ったり、今後も折に触れてあみ子の事を思い出したりするんだろうなと感じられる求心力を持った作品だった。劇中あみ子の一挙手一投足に目が離せない。こういう作品が全国300館くらいで上映されるべき。

人の人格を表面で見えるだけの言動で決めつけてしまうのは意味のないこと。家族構成もあるだろうし、成長度合いもあるだろうし、一時的なものもあるだろうし、地域との関わり方もあるだろうし、複合的に絡み合って形成されるものなんだなと。

小学生時代のあみ子の生き生きした描写が抜群。あみ子と再婚した母(尾野真千子)の噛み合わない空気感を何気ないやり取りで見せるのが上手い。兄の気苦労を10円はげで見せてたり、父親(井浦新)の一見優しそうだが正面から子どもに向き合わないしんどさとか解像度が高い。

母さんのほくろが小さく見える時はあみ子のなかで嘘だと感じてるときなのか、あと兄から新しい母の説明を受けたときとおばあちゃんの家から父が帰ったあとにスキップをしていたけど、あれをすることであみ子の中で現実を咀嚼していたのかな。だとしたらより切ない。自分にだけ物音が聴こえ、親や同級生に言ってもまともに取り合ってくれないあみ子が一人きりでいるときの事を考えてしまう。「うち、嫌われとるんじゃろか」と坊主頭に訪ねた時の表情が忘れられない。

フランケンシュタインの映画本編まで使って伝えたかった意図はなんだろう。

河があって、山があって、海もあって、階段もあって、適度に暴走族もいる環境は理想的に思える。

冒頭から流れる水のSE、滴るとうもろこしの汁や汗、水のモチーフからの水子、河を渡る幽霊たち、生と死、海からの手招きをバイバイで振り返す。大丈夫じゃ。

あみ子が幻聴が聴こえる事も含めてイヤホン、ヘッドホンが推奨。
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