♪ おばけなんてないさ
おばけなんてうそさ
ねぼけたひとが みまちがえたのさ
少し風変わりな子、あみ子。
と概要欄にあるんですけども、小学生の奇行なんて“普通”の話。寧ろ、変わっていたほうが良いんです。授業中に叫びだした吉沢君(仮名)も今では立派な大人です。
しかし、それが中学生になると。
途端に意味合いが変わってくるんですよね。成長が遅いとか、精神的に障害があるとか、言わざるを得ない。個性の範疇で話が収まらないんです。
だから、本作の評価は難しいんですよ。
小学生である前半と、中学生である後半(ウィキペディアを読むと高校生の頃も描かれているらしい…が、主人公はずっと小学生のままなので分かりづらい)で印象がガラリと変わりますからね。
また、家族との距離感も同様。
説明描写を邦画としてはギリギリまで削っているので、彼らが何を考えているのか…観客がある程度推測しないといけないんです。なので、ある意味で本作は鏡。
あみ子に寄り添えるのか。
あるいは父親に憤慨するのか。
お兄さんの気ままな感じに同情するのか。
あみ子をずっと見ていた同級生の気持ちになるのか。
その感想を書いただけで人間性が露わになり、優しい人なのか、冷たい人なのか、鬼畜なのか、母性溢れる人なのか…分かっちゃうんです。自身の考えが如実に表れちゃうんです。
いやぁ、こわい。
踏み込んだことは容易に書けませんね。きっと僕なんて石を投げられるに決まってますからね。こわいこわいこわいこわい。
でも、ひとつだけ書くとするならば。
概要の「少し風変わりな子」という部分。ここに製作者の思いが詰まっているようで…そして、それが何気なく、さりげなく誰かを傷つけているような気がして…本作を好きにはなれませんでした。
まあ、そんなわけで。
ゆっくりと大人の階段を上る女の子の物語。
そもそも、大人になる、とは“つながる”ということ。それは神経回路のつながりだけではなく、知識と世間の常識が繋がることだったり、ダイレクトに人間関係のことだったり。そう考えると僕もまだ大人じゃないんだろうなあ。
あ。石は投げないで。投げないで。