「目には目を 600万人には600万人を」
生き残ったユダヤ人たちによるドイツ人の無差別大量殺害計画が、もしも本当に実行されていたとしたら・・・多くのドイツ国民の命が失われていただけではないような恐ろしさを感じた。
密告者のせいで妻子を殺されたマックスが、憎しみに支配されるのは想像に難くないだけに、密かにナチスの残党を処刑しているユダヤ人旅団と行動を共にしていくのは、自然な流れだと思えた。復讐が生きる目的となったマックスがより過激なナカムに傾倒していくのも。それを“自然”だとみてしまうのが悔しいけれど。
計画の現実味が濃くなるにつれ、マックスの中には葛藤がうまれていったのだと思う。復讐心と良心の呵責・・・。アンナも同じように苦しんでいただけに、互いに縋りつくように慰みあうように求め合う姿は悲しかった。
真の復讐とは何か。実際に計画され、でも遂行されなかったこの実話を通して、憎悪とどう向き合うべきか、考えた映画だった。
#85_2021