復讐者たちの作品情報・感想・評価・動画配信 - 24ページ目

「復讐者たち」に投稿された感想・評価

hasema

hasemaの感想・評価

3.8

このレビューはネタバレを含みます

実話をもとにしたユダヤ人の復讐計画。こんな集団がいたとは全く知らなかった。

敗戦国のドイツ国民が、破壊された街で必死で生きている。どの国でも一般市民は為政者に振り回されて生きているのだな、と思いきや、「この人たちは知ってて止めなかった、全て知っててユダヤ人をゲットーに差し出した、知っていたのに笑ってたんだ」と復讐を誓う「ナカム」のメンバーが言う。ナチス親衛隊だけでなく、一般人の罪を問う言葉が、重い。
結局、一般人を含めた復讐計画は実現しなかったし、幸せな人生を送ることが一番の復讐という、監督の導く結末には納得はする。それしかないとは思う。

しかし、それは被害者が思うことであって、加害者がしたり顔で言うべきことではない。
この日本で生きる、一般人の自分には「罪」はないのか。それを考える時間となったと思う。
これが実話だとは。
まだまだ知らないことが山ほどある。


僕は、「復讐」は無意味だと考えている。復讐したところで何も変わらないし、どころか、負の連鎖がいつまでも続くだけだからだ。

しかし、「復讐心を抱いてしまう人」を否定するつもりもない。

何故なら、「復讐心」しか生きる希望を繋ぎ止めることができない人もいると思うからだ。

映画の冒頭、こんなナレーションが流れる。

【家族を殺されたと想像してみてくれ
あなたの姉妹 兄弟 両親 子どもたち
罪もないのに殺された
どうする?
さあ、自問してくれ
どうするのかと】

僕は、これほどの状況に置かれたことはない。というか、現代を生きるほとんどの日本人が、戦時下のユダヤ人ほどに辛い状況に置かれることはなかなかないだろう。

人間は、なかなか強く生きることができない。強い者もいるが、全員ではない。悲惨な過去を背負い、現在進行系で苦しい状況に置かれている時、やはりその現実を否定したくなる。

それが、まったく自分に非がないとするならなおさらだ。

辛い現実を否定するために、誰かを憎むことは自然なことだと思う。

そういう人間の気持ちを、僕は否定することはできない。

映画の中で、

【これが真の復讐だ】

とある人物が語る場面がある。彼が語った「復讐の内容」は、ここでは触れないが、彼のような選択を取れるのは、やはり強さを感じる。

そう簡単に、誰かを許したり、過去を水に流せるわけではない。

このような、歴史の悲惨さを描く作品に触れる度に感じる。

彼らを否定することなど簡単だ。しかしそれは、安全な世の中に生きているからこそ言える戯言だとも感じてしまう。

彼らと同じ時代に、同じ環境にいた時、自分が同じことをしないと断言できるという人間は、想像力が欠如していると思う。

こういう作品に触れる度に思う。

極限状況においては、自分はいつ「悪」に転じてしまってもおかしくないのだ、と。

自分が、まがりなりにも「善」側にいられるのは、ただ運が良いだけなのだ、と。

そういうことを、いつも忘れない人間でありたいと思う。

内容に入ろうと思います。
1945年、ドイツでの戦闘が終結し、マックスはどうにか生き延びた。ユダヤ人であり、アウシュビッツ・ビルケナウに収容されていた彼は、残酷な日々を悔恨しながら、家族と会える一縷の望みを抱いて、どうにかタルヴィージオへと向かう。ユダヤ人の難民キャンプがあり、家族が生きているならそこに向かうはずだと、見知らぬ男に声をかけられたからだ。
アブラハムと名乗る見知らぬ男とタルヴィージオを目指す道中、アブラハムが肉の匂いがすると言って兵士がサッカーをしている方へと向かっていく。そこで出会ったのが、英国軍のユダヤ旅団である。彼らはマックスらを難民キャンプまで送り届けてくれ、パレスチナまでの輸送車に乗るよう案内してくれた。
しかし、難民キャンプで聞いたある事実をきっかけに、マックスは残る決断をした。
実は、ユダヤ旅団のメンバーは、英国軍に黙ってある活動をしていた。戦時中にユダヤ人を迫害していたドイツ人を探し出し、次々と処刑していたのだ。その事実を知ったマックスは、自分もその仲間に入れてほしいと頼み込む。
ユダヤ旅団と行動を共にし、ユダヤ人の虐殺に関わったドイツ人を次々に射殺していくのだが、その過程で「ナカム」という別の集団の存在を知る。
同じくドイツ人に復讐をしているユダヤ人の集団だが、ナカムはより過激で、ドイツ人であれば民間人も殺していると噂されている。
やがて事情があり、ドイツを離れなければならなくなったユダヤ旅団と分かれ、マックスはナカムに潜入することになるのだが……。
というような話です。

冒頭でも書いた通り、僕は「復讐そのもの」は無意味だと思っているが、「復讐心」は否定しない。この物語でも、ユダヤ旅団やナカムが、独自の理屈で制裁を加えていくわけだが、彼らが背負わされたものの大きさを考えると、「復讐心」を抱いてしまうことは仕方ないと感じさせられる。

もちろん、ユダヤ人の虐殺に直接的に関わった人物というのは、ドイツ国民全体からすれば一部だろう。しかし、この映画に登場するユダヤ人の一人は、一般のユダヤ人も決して許さないと決意している。

【彼らは見てたのよ。
私たちが迫害されるのを。
ドイツ人は、私たちの悲鳴を聞いて、喜んでた。】

いじめの議論においても常に、「直接的にいじめに加担した人」だけではなく、「見て見ぬ振りをして何もしなかった人」も同罪だ、とされることがある。

確かに、気持ちは分からないでもないが、僕としてはその意見にはあまり賛同したくはない。同罪のはずがない、と思う。やはり、「直接的にいじめに加担した人」が圧倒的に悪いし、「ヒトラーを始めとする、ユダヤ人虐殺に直接関わった人」が絶対に悪い。

しかし一方、僕は心理学の世界の有名な実験のことも知っている。「ミルグラム実験」と呼ばれるその実験は「アイヒマン実験」とも称されており、ユダヤ人収容所の所長だったアイヒマンの裁判が始まってから1年後に行われた。

アイヒマンは裁判で、「自分は命令に従っただけだ」と主張。そしてミルグラムは、「権威ある人物から命じられれば、誰もがアイヒマンのように人を殺してしまうのか」を検証する実験を行った。

非常に有名なこの実験では、70%近い人がアイヒマンと同様の行為を行いうる、という結論が出ている。

実験の詳細は調べれば出てくるので検索してほしいですが、この実験の存在を知ってしまってから、「ユダヤ人虐殺に直接関わった人も、本当の意味で責任があると言えるのか?」という点に、自信がなくなってしまった。

映画の原題は「Plan A」である。これは、実際に存在した「ユダヤ人によるドイツ人への復讐計画」につけられた名前だ(この名前が、この映画内に呼び名なのか、それとも実際に「Plan A」という名前だったのかは分からない)。

これはネタバレではないと思うが、実際に「Plan A」は実現しなかった。実現していたら、世界はまたとんでもなく変わっていたことだろう。

「Plan A」が現実のものとならなくて良かったと思う。しかし一方で、「ユダヤ人による『真の復讐』」は、果たして実現したのだろうか? とも思う。

恐らく、実現はしていないはずだ。

だからこそ、我慢を強いられ続けてきたユダヤ人たちが、一矢報いることができるような何かがあってほしい、とも願ってしまう。
なげき

なげきの感想・評価

3.7
第二次大戦後、ナチスへの復讐を誓った過激派ユダヤ人組織によって立案されたドイツ国民大量殺害計画"プランA"を題材にしたサスペンスドラマ。

復讐のため600万人の民間人を毒殺しようとしたこの計画が実話だと知って震える。

五輪開会式をめぐるゴタゴタで、図らずも今の日本にとってタイムリーな題材になってしまった。力作です。
BROOK

BROOKの感想・評価

4.0
鑑賞日:2021年7月23日
パンフレット:720円


目には目を、600万人には600万人を――!


いやぁ…まだまだ知らない歴史が多いですね。
今作はユダヤ人迫害を題材にした作品ですが、いろいろと勉強になりました!

戦後しばらく経ってからユダヤ人迫害を題材にした「コリーニ事件」も素晴らしい作品でしたが、
今作もなかなかどうして、非常に良かったです。

”ナカム”という組織、そして、A計画というのも初めて聞きました。



映画は1945年のドイツ、ユダヤ人のマックスが隠れ家を提供してくれたものの、密告したドイツ人の家庭を訪れるシーンから始まります。

家の主はマックスを足蹴にし、妻子の行方も分からず。


街を彷徨っていると、アブラハムという同じユダヤ人の男が話しかけてきて、行動を共にすることに。

2人は英国軍隊のユダヤ旅団に保護され、避難所へと向かう。


マックスはミハイルに誘われ、ナチスの残党を私刑する場面へと連れて行かれ…

翌日、妻子の行方を知る女性から、2人は生き埋めにされたことを知らされるマックス。


復讐に駆られたマックスはユダヤ旅団に同行し、ナチスの残党狩りへと向かうのだが、途中、”ナカム”という組織の処刑を目の当たりにするのだった…。



とりあえず、戦後、ドイツが敗戦国となっても、ユダヤ人には居場所が無かったのですね…。
さらにはドイツ人からまだまだ迫害されていたとは…!

ユダヤ旅団はあくまでナチスの残党を処刑していくのだけど、
ナカムはドイツ国民全員に復讐すべきだと主張する組織で…

たしかに家族が殺されたとしたら、それを見過ごしてきたドイツ国民全員も同罪だというのも納得の動機かもしれないなぁ。

ユダヤ旅団とナカム、どちらが正しいのかは、難しいかも。



マックスがナカムにスパイとして入り込んでから、物語が大きく動き出していきます。
ドイツ国民全員を殺そうとするA計画を調べていくのだが、
徐々にマックスがナカムに感化されていくのは、人間として”あり”なのだと思う。

ただし、復讐に駆られることが正しいのかどうかの境界線は非常に難しいところ。


そうそう、マックスとアンナの”関係”はちょっと蛇足気味でした。
ま、同じ傷を持つ者同士として…?


マックスの決断は是非とも劇場で確かめてみて欲しい。
というか、歴史を知っているならば解っちゃうけどね(苦笑)

復讐はいい人生を送ること…ということで♪


そういえば、エンドロール前に登場していた老人たちは、
本物のナカムのメンバーでしょうか?
エンドロールにSPECIAL THANKS TO THE REAL AVENGERSの文字とともに名前があったので。


そして、エンドロール終了後の『NEVER AGAIN』(二度と繰り返さない)という文字が非常に心に響きます。
ナチスに愛する家族を奪われたマックス。ナチスに復讐を計画するユダヤ人グループと知り合い、復讐計画に加担することに。実話ベースらしいんだけど、もし、もし本当にこの計画が実行されていたら、世の中はどう変わってたんだろうな。ナチス関連の実話ベースの映画を観る度に思うのは、きっと亡くなった人の数だけそれぞれのストーリーがあって、史実として、記録を残していく義務があるんだよね。戦争を知らない私達には。
Sohey

Soheyの感想・評価

3.4
ホロコーストを生き延びたユダヤ人組織によるドイツの民間人600万人の大量殺人計画。人間としての尊厳を損なわれたユダヤ人たちは自らも人間としての道理を超えてしまうのか。

計画実行へのスリリングな語り口もさることながら、良心と憎悪の間で苦悩する女性を演じたシルヴィア・フークスが素晴らしかった。
復讐にもいろいろな方向性があるけど、それが果てしないことに変わりはない。でもやらずにはいられないのが復讐!仇討と違って相手が多い!ああ、これが実話だなんて!
家族を奪われ地獄を生き延びた者達の報復。負の連鎖と言い切るにはあまりにも切ない。

暗躍する様々な機関に私はまだ何も知らないんだと痛感する。史実そのものがネタバレだけど、終盤の大胆な一手間に亡き者の叫びを聞いた。この時代の調査は進み益々この手の作品は作られるのだろう。
i

iの感想・評価

-

このレビューはネタバレを含みます

理性的でしっかりとした作品。

ユダヤ人側からのみ描写する戦争映画ってあったっけ。静かに考えさせてくる。
まだまだホロコースト関連については知らないことあるんだなと驚きました。。

そりゃ復讐したい気持ち湧き上がるよね。
ナチスドイツは負けましたっつってもナチの残党は残っていて思想も変えずに普通に生活してるのを見たら、
自分や自分の家族をされたことを「お前も体験しろよ」って思うのも無理からぬことだと思いますよ。


****


正しい復讐?

『復讐者たち』四コマ映画→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2737


****


ホロコーストとは、ナチス政権とその協力者による約600万人のユダヤ人やロマ、同性愛者などの組織的、官僚的、国家的な迫害および殺戮のこと。

僕が10代の頃に、『シンドラーのリスト』(1994)と『ライフ・イズ・ビューティフル』(1999)が大ヒットしまして、おそらくこれら映画でホロコーストというものが広く知られたんだと思います。

『ベント/堕ちた饗宴』(1997)や『ソフィーの選択』(1983)などもありますがそんなに多くの人が見たとも思えず(僕もまだ見てませんし)。
学校の授業では習ったけれども、映画以外にナチスやホロコーストについて広く知られる機会もそんなにないでしょうし。

その後もナチスやホロコーストを扱った映画はたくさん作られて、どんどん溜まっていって、玉石混交ではありますけど、題材が題材なだけに作り手も本気だからか、名作やサスペンス的に面白い映画も多いです。

エンタメ映画、コメディ映画の皮をかぶってるけど実は結構なナチス映画!ってのも出現してきましたね。
いろんな角度で描かれるのはいいことだと思います。

『サラの鍵』(2010年)、『否定と肯定』(2016年)、『帰ってきたヒトラー』(2015年)、『サウルの息子』(2016年)、『ハンナ・アーレント』(2013)あたりもオススメです。


****


さて、この『復讐者たち』。

面白い。
ナチス側はほとんど描かれずに、ナチスに苦しめられたユダヤ人たちの中でも様々な考えの人がいて、その入り組んだ感じが面白い。

ちゃんとした手順で間違いもなく残酷でもない処刑をしていきたい派と、
(↑もちろんこれだって法律違反だし倫理的にもダメだわな)
過激にサクサク殺していくしなんならドイツ人全員を殺す計画を遂行してる派の対立。


***

ナチス側を描かないのも話に合ってますし
人物がそれぞれ的確で、人数合わせみたいなキャラもいなくて、各々が活躍していたのも良かったです。

過激派ナカムのリーダーのキャラクターも良いですね。
そんなに出番はないんですけど、落ち着いた人物で淡々と喋るので、逆に「この人も辛い目にあったんだなぁ」とか「復讐の鬼に囚われてるんだなぁ」と、こっちが勝手に想像を膨らませるキャラクター。素晴らしいじゃないですか。
この映画の一番の悪役なはずなのに。


***


サスペンス映画としての作りが上手いんだと思います。

多くの人が許容できる(できそうな)復讐を遂行する側と
さすがにそれはちょっと…と思う復讐を遂行する側の対立が面白いし。

その計画を止めるスパイとして送り込まれた人がそっちに飲み込まれてしまう感情の流れもよくわかる。

なので結局は戦争って100パー絶対ダメだし、人権を軽んじてるといつまで経っても問題は起き続けるんだという思いを新たにしますよ。



***


実話をベースにしてまして、確かにほんとにこの恐ろしい復讐が計画されていてある程度進められていた事実はあるようです。

物語の根幹はリアル。
ネタバレになるかもしれないので言えませんが、エンドロールに「あ、リアルなんだ…」って思わせるあの演出がありますし。

ただ、エンタメ映画としての構造もありまして。

ネタバレせずに書けないや。



公開されたらネタバレ書きます〜。



****


『復讐者たち』四コマ映画→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2737

あなたにおすすめの記事