ゆりな

ムーンライト・シャドウのゆりなのレビュー・感想・評価

ムーンライト・シャドウ(2021年製作の映画)
3.6
小松菜奈による、小松菜奈のための映画。

映画化するまで5年。コロナ禍で色々なものを急になくして失って、どう埋めたらいいか分からないひとが、まさにテーマ。

非常に美しく、MVみたいな世界観。水沢氷魚くんがメンノンでデビューしたときは、まさかこんなに売れると思っていなかったし、これ、村上春樹が羨ましがる世界観なんじゃないかな〜。カラコンでもないのに、ほんのりグリーンの色素の薄い目をしていてきれい。

冒頭の青い毛束がある小松菜奈ちゃん「エターナル・サンシャイン」のクレメンタインみたいだもん!言わずもがな、私は小松菜奈が大好きなので、目が離せなかった。テレビ上で見ても小さい顔(ってことは実物は豆粒なのをわたしはよく知っている)、長いまつ毛、今回は薄い眉。
私含め、スクリーンの彼女にみんな恋するんだな、ってどの映画を観ても思う。この映画、最初から監督が小松菜奈希望だったそうで。だって彼女からカメラが離れる瞬間が少ないから。
柊こと佐藤緋美くんは、今泉力哉監督が好きそう。

キャストは日本人だけど、マレーシア出身の監督というフラットさが分かる。音楽がない、静かな作品。これ、映画館で観たらびっくりしていたかも(笑)
愛する人を失ってやつれて、ほぼメイクをしていなくて唇まで荒れちゃっていても、人として美しい小松菜奈がすごい。

「よく分からなかった」と言えばそれまでなんだけど、吉本ばななの生と死に関する物語をポップに描かれても困るし、原作の静けさと寒々しい日常の空気を映像化したら、こんなもんなんじゃないかなぁ。
失恋したときに支えにしたい、再生の物語だった。そりゃそうだよね、失恋も辛いけれど、好きなひとが死んでしまったら寄りを戻すチャンスどころか、そもそも一生会えないわけで。

小松菜奈がインタビューで「この物語は、大切な人を失った人のその後をどう描くかという話だったので、衣装合わせの時、私はもっと暗いさつきだと思っていたんです。洋服の色使いもモノトーンで、地味なのかなと思っていたら、すごくポップなものが集められていてびっくりしました。エドモンド監督は髪にも青色を入れたいとか、まつげを青くしたいとか、私が想像していたのと180度違うさつきだったので、新鮮で。固定概念を崩してくださったところもあって、さつきの部屋も、もっとポップに、もっとクレイジーにしたいと美術さんに推していた。」と語っていて、納得。

衣装の色は明るいのに終始画面は暗い。終盤、柊と別れるときにバイバイと言って、やっと微笑む小松菜奈を見たとき、グッと来ちゃったよね。
宮沢氷魚くんと穏やかにいちゃいちゃする2人も素敵だけど、親愛という距離感で結ばれた佐藤緋美くんと画面に収まっているところが好きだった。
決して面白い映画ではないのだけど、面白いだけが映画の真髄じゃないだろう。