EDDIE

スティルウォーターのEDDIEのレビュー・感想・評価

スティルウォーター(2021年製作の映画)
4.3
“人生は冷酷だ”
オクラホマ州スティルウォーター…ただ記号的でしかなかった地名が強い意味を持つ。娘の無実を晴らすため、言葉も通じない異国で真犯人を捜索するマット・デイモン。終盤のパズルのように繋がる展開に開いた口が塞がらなかった。

〈ポイント〉
・過去に対する贖罪として娘第一に考え感情的に行動するマット・デイモンの演技が素晴らしい
・終盤の展開には唸った…前半やや退屈に思う部分もあるけど我慢して観て!
・家族と喪失を同時に描く“人生”を表したテーマ性
・前半退屈するかもだけど、空港のシーンとか脳裏に焼き付けといて!“スティルウォーター”とは
・マヤ役の子役がたまらなく可愛いし、演技も凄い!

〈雑感〉
期待値をいい意味で裏切られました。
今週公開作品の『ハウス・オブ・グッチ』と『クライ・マッチョ』と比較すると正直期待値低めだったんですよ。
けど、マット・デイモン主演だし、『スポットライト』のトーマス・マッカーシー監督&脚本だし、というだけの動機で観に行きました。あと金曜仕事終わりのレイトショーで時間合うのがこれでした。

いやぁ主役で父親のビルは言われたこともできないし、仕事も安定していない体たらくなんですよ。
なので言葉選ばずに言うとダメ人間です。
母からも愛想尽かされてるし、あらすじに娘の無実を晴らすためって書かれてますけど、そもそもこの娘のアリソンにすら信用されてないですからね。
わざわざ異国の地であるフランスのマルセイユにまで飛んできたってのに、お婆ちゃんはなんて言ってるのとか、弁護士の先生にお願いしてとか、勝手なことしないで的なこと言われたりとか、娘にもあんまり信用されてないんですよね。
もちろん逮捕された娘にもそれなりの事情というものがあるわけですが。

で、マルセイユ行ったら行ったで、全然言葉が通じません。フランス語喋れないし、さも当然みたいなスタンスで英語で人々に語りかけるわけです。
現地の人たちも当然フランス語でしか話さないので、何も通じ合いません。
そこでとあるきっかけで知り合った現地の女性ヴィルジニーが英語も喋れるということで、娘が無実だと信じて疑わないビルは真犯人探しを手伝ってもらうわけです。
このあたりのパートが、やはり観ているこちら側も英語やらフランス語やら飛び交いながら字幕で日本語を追わなければならない大変さと、アクション的な画の少ないシーンにやや退屈を覚えてしまうんですね。

ただ、中盤以降娘アリソンの仮釈放やら、真犯人かもしれない人物との接触やらで一気に引き込まれます。
このあたりから俄然面白くなってきて、前半の退屈さを取り返すかのような没入感。
むしろ後半の様々なピースが繋がっていく中で、前半の各シーンが意味を持ってくるんですね。もう劇場の中で前のめりになって観てしまいました。

家族の絆を取り戻すというステレオタイプな家族再生物語に終始せず、そこに大切な人との別れや喪失といった選択を強いられるような人生の命題にも追求した深い内容になっていて唸りました。
いやはや、本当に凄かったです。
最終的に観てよかったという感想に行き着いたので、スコアもハイスコアになりました。

〈キャスト〉
ビル・ベイカー(マット・デイモン)
アリソン・ベイカー(アビゲイル・ブレスリン)
ヴィルジニー(カミーユ・コッタン)
マヤ(リル・シャウバウ)
シャロン(ディアナ・ダナガン)

※2021年新作映画8本目