舞台はフランスのマルセイユ。同性愛のパートナーを殺害した罪で服役する娘の無罪を信じ、アメリカ人の父が異国の地で奮闘する犯罪ドラマ。
本作は、事件を解き明かすミステリーと思わない方が良い。
確執のあった父と娘のドラマであり、冴えないダメ親父の再生物語でもある。
主演はマット・デイモン。過去には罪を犯し、定職に就くことのできない父親ビルを演じる。
ビルは娘を救出するためには嘘もつく。手段も選ばない。
そのような無鉄砲なビルと行動を伴にするのが、現地のシングルマザーであるヴィルジニー。文化や価値観の違いからビルと衝突するも、彼女の優しさに触れることができる。
四面楚歌のビルがヴィルジニーやその娘と交流する様子には、心温まるものがある。
タイトルの「スティルウォーター」は、アメリカのオクラホマ州の都市。
ビルたち父娘の故郷であるほか、重要なキーアイテムにも登場する言葉。
そして、タイトルの意味を理解するのは、全てが明らかになる終盤。そこで待ち受ける意外な結末。同時に、何が正しかったのかを考えさせられる。
鑑賞後も余韻に浸ることのできる、濃密な作品だった。
それにしても。
マット・デイモンは良い俳優だなって思う今日この頃。スパイからダメ親父まで、幅広い役柄を見事にこなしている。今後の活躍にも期待したい。
