選曲にイギリスのプライドを感じた。
PCが過剰、もしくはむしろ時代遅れみたいな感想も拝見したけど、過剰どころかもっと欲しいし、多少時代遅れだろうがこういう話がもっともっと必要ですよ。
しかし、これは頭が痛い問題だけど、例えばエラのような"お金持ちの男性との結婚よりも自分の夢を追うことを選ぶ"女性を描くとき、それは必然的に旧態依然の価値観に対する批判となるから、それの対となる"お金持ちの男性と結婚をしたい"女性をどう描くかというのがかなり重要になってくる。もちろんそういった登場人物を出さないことも出来ると思うけど、意地悪な継母とその娘たちは本作の元ネタである『シンデレラ』でも欠かせない重要な登場人物だから、登場させないということはほとんどあり得ない。これについて、継母に関しては”一度は好きに生きてみようとしたが旧い価値観に邪魔をされ結局夢をあきらめてしまった”女性に改変、エラによって彼女が解放されるという”もうひとつのストーリー”を作り出したのは見事だったと思う。娘たちは、救いようのないくらいいやな人というほどではなかったけど、ちょっと滑稽に描かれ過ぎていたきらいはある。しかしそれ以上に気になったのは舞踏会にきているモブキャラーズたちで、インド系、アフリカ系、日系と、各国の文化にインスパイアされたドレスを着た多人種の女性たちが「王子、私を気に入ってくれ～！」って踊るシーンがあるんだけど、多人種起用への配慮、そこに入れてくるのか～～という……。いやまあ、金持ち男性との結婚こそが女の夢！と思っていることは何も悪いことではないんだけど（「それ本当にあなた自身の価値観？」とは問わせてもらうけど）、本作ではシンデレラを抑圧するものとしてそういう価値観を描写した以上、それを持っている人は強制的に悪いものになってしまうよね。で、そういう人たちに多人種の俳優さんたちを充てたところもどうなんだ？って思うし、それ以前にもう少し描き方とかの配慮があっても良かったんじゃないかなと思った。継母だけじゃなく彼女たちも救ってくれ（少なくとも救おうとはしてくれ）……。
いろいろ書いたけどごきげんミュージカルは大好きなので楽しかったです。とくに”Perfect”は結婚式をするなら流したい曲ナンバーワンなので、ダンスシーンで流れ出したときはめっちゃテンション上がった。（妄想のなかの米国式結婚式……ラストダンスで流したい……）
