hajime363

前科者のhajime363のネタバレレビュー・内容・結末

前科者(2022年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

「二重生活」「あゝ荒野」を予習しておいて良かった!

生きる力としての憎しみと赦しの二項対立は継続。
「あゝ荒野」が憎しみを描いていたので、今回は赦し。特に終盤の赦しは「あゝ荒野」のラストを彷彿とさせる一方的な赦しの乱打。
扉の外に関係者(観客)がいる構造も意図的のように思う。
2つでひとつみたいな対極にある作品でした。

“憎しみが無いと死にたくなる”

ということで、今回は希死念慮や抑うつ状態が主題の憎しみに絡められており、以前のような独立した印象が軽減していた。
抑うつ状態の描写もとてもリアルで、やはり監督にとって自殺はパーソナルなテーマなのだと感じた。

赦しのエネルギーはどうしても憎しみに比較すると劣る印象だが、「自分が赦して欲しいから他人のことを赦す」という罪悪感を利用することでパワーが増していた。

あと、監督の作品に必ず出てくるシーンがピクサーのイースターエッグみたいで、個人的に出てくるとテンションが上がります笑

“精神状態に関係なくラーメンって美味しいよね”とか、“めちゃめちゃセックスしたいけどここでヤッたら大事な何かを失いそう中折れ”とか、他にもあるのかな…?

どちらも動物としての人間の“おかしさ”を表現していると思っていて、前者は本能的な、後者は理性的な社会性を持つ知的な動物としての人間の愛すべき矛盾。

あ、森田剛先生の演技は今回も抜群です!見事な見た目は大人、頭脳は子供っぷりでした!

正直、「あゝ荒野」の方が時間が長いってこともあって相対的には好みなんだけど、本作品もすごく良い映画でした!
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