ハレルヤ

前科者のハレルヤのレビュー・感想・評価

前科者(2022年製作の映画)
3.7
前科者の社会復帰を支援する保護司を務める佳代。自分が担当する過去に殺人を犯した工藤が突然失踪。同時期に連続殺人が発生し、工藤への嫌疑が掛かるが、佳代は彼の無実を信じるサスペンスドラマ。

普段ならなかなか知り得ない犯罪を犯した者のその後。刑期を終えてその後をどう過ごすのか、誰が支援するのか。そこに焦点が当たったのが本作。日本のこういったサスペンスドラマはやっぱり全編飽きない仕上がりになっているのは流石。

それも出演者の演技の良さが際立っているの大きいでしょう。苦しい過去が背景にあり、それがあったからこそ犯罪者の更生を後押ししたい一心で保護司を務める佳代を有村架純が熱演。正直この手の仕事に彼女みたいな若い女性ってどうなの?という疑問符が最初はありましたが、気がつけばどうでも良くなっているほど彼女の姿に引き込まれましたね。

そして壮絶な過去を引きずり、衝動的に殺人を犯してしまった前科者の工藤を演じたのは森田剛。見る前までキャストは有村架純しかマトモに見てなかったので、最初は彼とは全く気づかず。鑑賞途中で調べてビックリしました。「ヒメアノ~ル」でも感じましたが、ジャニーズ上がりとは思えないほどの役柄への没入感。芸能人オーラを完璧に消し、本当の前科者のような姿に驚愕。やはり彼の演技力と存在感を改めて強く感じました。

そんな主演2人を中心に出演者の演技はどの人も良かったです。だからこそ本作はちょいちょい強引な展開が勿体無い。例えば警察のメチャクチャさ。ジャック・バウアーみたいな拷問や、特に終盤のアレは有り得ない大失態レベル。映画だからといえばそこまでだけど、あんな描写されたら本当の警察も怒るでしょ。笑

根は優しいけど、犯罪を犯してしまった人間の苦しみ。いつまでも辛い過去に捉われる人間の終わることのない苦悩。そういった人に手を差し伸べる佳代みたいな優しさと厳しさを持ち合わせた人の存在の大切さ。良いテーマを有した作品でしたが、名作にはもうちょっと足りない印象でしたね。
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