おさる

東京オリンピック2017 都営霞ケ丘アパートのおさるのレビュー・感想・評価

2.8
東京オリンピック開催に賛同はしなかったが、この映画にその闇を描く力はなかったと思う。
残酷な言い方をすると、各地の公営住宅では老朽化や都市計画をもとに立ち退き
、住みかえを余儀なくされる事案はあるのであり、その中には「住み続けたかった。」「余生を最後までここにいたかった。」という人はある。
この映画では、オリンピックが開催される国立競技場の近くだから、どうも建て替えることになったようだ、ということはわかるが、その建て替え決定をする恣意性、住民への説明の不備、補償や転居への支援などについては、観客には判然としないまま、大変そうな引越しに向かう場面が大部分を占める。
都市が動きを見せる時に、犠牲を払う人があることに心は痛めるが、この映画ではストーリー性があまりにも見えず、背景の語りが不十分で、今回のオリンピックの影の部分を語り継ぐ材料にはならない作品だったと思う。
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