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ディア・エヴァン・ハンセンのhiroのレビュー・感想・評価

3.5
メッセージを込めたミュージカルにはやはり説得力が必要。

とっさの嘘は仕方がない。自分の居場所がないと感じ抗不安薬だけではなく抗うつ薬も服用しセラピーを必要するまで追い込まれてしまった青年に上手い処世術があるわけもない。

が、一旦帰った後(冷静になった後)のメール偽装やゾーイとの関係が深まった事でその他を疎かにする行為を見た観客にメッセージ性だけが良い歌を聴かせられても、、
でも嘘だよな。でも死んでるよな。と冷めてしまうだろう。

だけれど、エヴァンの行動が痛いくらい現実的だし人間的だとも感じた。

ゾーイ役のケイトリン・デヴァーが主演だった「ブックマート 卒業前夜のパーティデビュー」が余りも心が正しく理想的で綺麗な学生達しか居なく、もはやファンタジーと化していたのとは真逆の印象。

エヴァンは心を病み、足りない事が多過ぎると感じ自身の存在意義すら見失っていた。
そんな彼の前に全てが与えられたら、、誰しも似たような行動に走るのではないだろうか?

曲のポジティブなメッセージと主人公の行動の解離に違和感を覚えてしまったけれど、この映画はエヴァンの様な人達に向けて作られている。
私達は、エヴァンの行動を否定するのでは無く理解する努力をするべきだと思う。

曲自体は素晴らしく、今もwaving through a windowをリピートしている笑
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