塚原直彦

ディア・エヴァン・ハンセンの塚原直彦のレビュー・感想・評価

3.7
2015年に初演の同名人気ミュージカルの映画化。
主役のエヴァン役を務めるのはミュージカル版と同じくベン・プラット。
ちなみに父親は「プリティ・ウーマン」等を手掛けた超敏腕プロデューサーのマーク・プラットで、本作も彼がプロデュース。

冒頭からサラリと流れるように始まるミュージカルにやや面喰らいつつも、「ラ・ラ・ランド」や「グレイテスト・ショーマン」の楽曲提供で知られるパセク&ポールの音楽は圧巻。
どれもきちんと耳に残りつつ、ハズレなくしっかり名曲揃いなのは流石。
だがやはり本作の問題は【嘘】と【後悔】の描き方だ。
観客が感動したい流れなのにも関わらず、その要素がどうしても雑音となり波に乗れず白けてしまうのは余りに惜しい。

エイミー・アダムスやジュリアン・ムーアの演技は今回も素晴らしく、ベンの実年齢問題も個人的には全く気にならず今後は他作品での活躍に期待。
作品自体に構造的矛盾を抱えているのは仕方がないが、扱うテーマは良質で傑作になり得たがゆえ余計デリケートに整理して昇華して欲しかった。
塚原直彦

塚原直彦