しん

ディア・エヴァン・ハンセンのしんのレビュー・感想・評価

1.8
徹頭徹尾、不愉快な作品でした。基本的にコナーという人間の過去を好き勝手に妄想したり書き換えることで、生きている人間の喜怒哀楽を満たす映画です。一応、ミュージカルの曲の入れ所は悪くないので、そこだけは救いです。

前半は振りなので、流石にここだけで評価するのはフェアじゃないなと思いながら見続けましたが、後半は前半にも増して酷かったです。これは哲学的な問題ですが、死者にはどのような権利が残存するのでしょうか。好き勝手に思い出され、生きる人たちの気持ちよさに奉仕する義務はあるのでしょうか。本作におけるコナーの像は、本当に好き放題に荒らされます。唯一、前半の妹の悩みだけは共感できますが、それも後半になるにつれて霧散していきます。

ネタバレになるので詳細は避けますが、後半のエヴァン・ハンセンの責任を負わされようは酷いです。気持ちよくなりたかったのは誰だよと叫びたくなります。2022年の冒頭にダメ映画も見れてよかったです。いい映画ばかりだと、自分の中の基準が高止まりしますので。
しん

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