Jun潤

189のJun潤のレビュー・感想・評価

189(2021年製作の映画)
3.3
2021.12.08

降幡愛主題歌作品。
ぶっちゃけそれきっかけでマークしていた作品だったのですが、改めて作品情報を見てみると、児童相談所虐待対応ダイヤルをがタイトルの意味であり、児童虐待を題材にしたなかなか重厚そうな作品。
中山優馬主演にも期待を込めて、今回鑑賞です。

児童相談所に配属となった坂本大河。
慣れない仕事に懸命に向き合っていく坂本だが、親元に返した子供がベランダから放り出され死亡する事件が発生する。
苦悩し辞職しようとする坂本だが、担当している虐待の可能性がある児童・星羅のために復帰し、星羅を救うために奔走する。

ん〜これは、、。
題材も良かったですし、序盤からある児相による家庭訪問や保護児童の収容率、地方の児相との情報共有、デジタル化が進んでいない古い慣習の残っている職場環境など、現代社会の実情が描かれ、リアル志向の作品のような気がしましたが、エンタメというよりも教材ビデオ感の方が強く残ってしまった、、。
虐待をする父・勝一に共感性が全くなく、背景も描かれていないことから、サイコスリラーもののようにも見えました。

それは各登場人物のセリフが説明的であったり、題材がリアルなのに、一案件にチーム全体で集中的に取り組んでいる非リアル感が妙にチグハグだったこともありますし、上述の父親が普通にいそうな人物ではなく、ハッキリした悪役のように描かれていることも要因だったかなと思います。

本当に描かれるべきは、ラストシーンで描かれたような虐待事件が日本全国どこにでもあり、もしかしたら隣の家でも起きているのかもしれない、その時、何をすべきなのか、そして本当の悪は存在するのか。
虐待する親、対応の至らない児相、実害がないと動けない警察や裁くべき罪を裁けない司法、体制を変えようとしない国。
色んなところに問題は存在していると思いますし、やはりどこかに敵を作って叩く世相に巻かれるのではなく、個人個人が何ができるのかを考えて実行に移すことが大事で、そこを重点的に描けば見応えもメッセージ性も十分な作品になっていたと思います。
なかなか難しい注文だとは思っていますが、要素は作中に揃えていたと思うので、本当に惜しかった。

演技については説明セリフがメインのキャラやわかりやすく悪役に仕立てられたキャラを除いて、バイプレイヤー達の自然な演技はとても良かったです。
主演の中山優馬は、ソロ活動や舞台がメインのイメージでしたが、わかりやすい主人公キャラと、そのハッキリした顔立ちと演技でもって存在感を発揮していたと思います。

そして今作を鑑賞するきっかけだった降幡愛の主題歌。
「ラブライブ」シリーズのキャラボイスの印象しかなかったので、イメージとは正反対の昔の歌謡曲のような歌い方は本当にご本人なのかと思いました。
期待していた声ではなかったものの、声の使い分けが広がってきた感がありますし、朝のアニメなどで非人間キャラの声がマッチしているので、これからも声優アーティストとして活躍していってほしいですね。

途中で挟まった妙越PVは流れも唐突だし意味もわからないしで本当に謎でした。
Jun潤

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