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裁かるゝジャンヌのmiwanのレビュー・感想・評価

裁かるゝジャンヌ(1928年製作の映画)
4.0
ゴダールの「女と男のいる舗道」でアンナ・カリーナが本作を観て涙を流すシーンがあった。それが「裁かるゝジャンヌ」だと後から知ったのだが、とにかくそれがすごいインパクトだった。

BGMは流れるけれどセリフは無声で、時たま字幕が挿入されるだけなので、流れや演者の少し大袈裟な表情や仕草で何が話されているか想像する外はない。

「見るからに」の審問官たちが、お手本のようなパワハラをジャンヌに浴びせ続ける。求める答えは決まっていて、アメとムチでひたすら誘導しようとする。
対するジャンヌは、決して毅然とした英雄然としているわけではない。低いアングルから、もしくは真正面から、ジャンヌの表情が大映しされる。感情の起伏は押し殺し、ひたすら目を見開き、ひたすら思いに耽り、ひたすら涙を流す。
力無く、不安と迷いでいっぱいのように見える。でも、「oui」と言う時の表情に一切迷いはない。

結果として意志を貫いたジャンヌではあるけれど、火刑の決定に対する「もう、今ですか?」という反応と、「長く苦しませないでください」という言葉に、神ではなく人間を感じる。

最後にミサを手配した若き聖職者が素敵だった。
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