【クローズアップはリアリティか、いやそうではない】
ジャンヌ・ダルクの裁判記録をもとに、数ヶ月にわたった裁判から処刑に至るまでを一日のこととして重たいBGMに乗せて描いている。
火刑のシーンの重厚さは身震いしてしまうほどで、約100年前にこのような作品を撮ったカール・テオドラ・ドライヤー、とてつもない巨匠である。
ジャンヌや審問官たちの表情をひたすらクローズアップしたことをリアリティだという評価を読んだが、いやいやふだん人の顔をあそこまで接近して見ることありますか?
だからリアリティじゃなくて、ふだん見えないものを見せてるんですよ。
だからこそ一筋一筋の涙やこれ以上ない刮目ぶりが凄まじく映る。