カツマ

スクリームのカツマのレビュー・感想・評価

スクリーム(2022年製作の映画)
3.8
惨劇は終わらない。いつしかホラー映画の王道となり、シリーズ化され、オリジナルメンバーが再出演することになるほどにあの叫びの夜は終わらない。これは作為的な世代交代?いやいや、何も変わらない悲劇の連鎖が20年以上にわたり繰り返された結果であった。犯人はホラー映画の法則の中にある?変わらないからこその魅力がこのシリーズには息づいている。

かつては三部作で終わったと思われた『スクリーム』シリーズだが、2010年にまさかの『スクリーム4』として復活。この作品は時系列は三部作からの地続きで、完全なる続編として製作された。それから更に12年、今度は5作目にあたる今作は原点回帰するかのようにタイトル『スクリーム』のみで登場。長年、シリーズを牽引してきたウェス・クレイヴンが鬼籍に入ったため、初めてウェスが監督していないスクリームということになった。ウェスの跡を継いだのは『レディ・オア・ノット』でメガホンを取ったマット・ベティオッリ=オルピンとタイラー・ジレットコンビ。特に一作目への憧憬を強く込めつつ、新世代のスクリームをスタートさせた作品となった。

〜あらすじ〜

そこは仮面の殺人犯が数年越しに現れる街、ウッズボロー。ある夜、この街に住む高校生のタラ・カーペンターは、自宅で奇妙な電話を受信した。それは知らない男の声で、タラの友人のアンバーを監視し、殺そうとする恐ろしい電話。タラはすぐにドアを開け、アンバーを助けに行こうとするも、ドアの外で待機していた仮面の男に襲撃され、身体中をナイフで刺されるという重傷を負った。
ところ変わって、タラの姉、サム・カーペンターは、とある理由から何年も妹とは疎遠な日々を送っていた。意識的にウッズボローから離れて生きてきたサムだったが、妹が刺され入院したというニュースを聞いて、恋人のリッチーと共にウッズボローへと帰郷することに。サムを待っていたのはタラの友人グループたちで、これまでのウッズボローの事件を参照すると、このグループの友人たちも容疑者ということになる。つまりは信じられる人間は限られていた。そこでサムはかつて事件に関わったことのあるデューイ・ライリーを頼り、彼から助言を得ることにしたのだが・・。

〜見どころと感想〜

新シリーズの幕開けであり、同時に同窓会でもあるという本作。主人公はやっぱりシドニーで、彼女無くしてはスクリームシリーズは成り立たないことはもはや必至。ゲイルやデューイも再登場し、ウッズボローの惨劇を知るものたちによる新世代との共闘が楽しめる作品である。もちろん、過去作と同様に犯人当てを楽しめる要素も満載。確実に犯人は身近にいるため、犯人が分かった時に『お前、誰!?』となる可能性がゼロなのもこのシリーズの醍醐味だろう。

シリーズ共通のキャストとして、未だに美しいネーヴ・キャンベル、コートニー・コックスが再登場。更に毎回災厄に巻き込まれる役どころとしてのデヴィッド・アークエット、『スクリーム4』から登場のマーリー・シェルトンらも再登板。サム役のメリッサ・バレラは『イン・ザ・ハイツ』などに出演の新進女優で、タラ役のジェナ・オルテガは『ザ・ベビーシッター キラークイーン』や『X』などスリラーへの出演が多い若手である。更にはデニス・クエイドとメグ・ライアンの息子ジャック・クエイドがサムの恋人役として登場するなど、痒いところまで手の届くキャスティングも見どころの一つだろう。

『スクリーム』シリーズを継承しつつ、元祖へのリスペクトを大いに込めた本作は、所謂、『スクリーム』をホラー映画の殿堂として押し上げるべく献身的に躍動している。伝統芸としての『スクリーム』への盲信。そして、かつて『スクリーム』が茶化された脅かし要素にも再度光を充てるなど、ウェス・クレイヴンの功績を完璧に肯定してくれる。個人的に初代『スクリーム』は大好きなので、この再評価の流れは大歓迎。こうしてシリーズが続いていることもまた意外な驚きだが、同時に嬉しい副産物のようでもあった。

〜あとがき〜

約1ヶ月ぶり、久々のレビューです。この1ヶ月は妻と共に育児に邁進したことで、映画はほぼ見れず。仕事の合間に少しずつ鑑賞した今作が唯一の作品となりました。『スクリーム』は特に一作目が好きなのでこの流れは嬉しかったですね。まだまだこのシリーズは続いていくような気がします。

そして、もしかしたら今年最後のレビューになるかもしれないので、2022年間ベスト10をおまけに添えておきます。今年は全然観れなかったですが、子どもがスクスクと成長しているのを見ると趣味を脇に置いておくことが辛くはないですね。

2022年間ベストムービー10

1.私は最悪。
2.ベルファスト
3.シン・ウルトラマン
4.ドクターストレンジ・マルチバース・オブ・マッドネス
5.トップガン・マーベリック
6.ブレット・トレイン
7.ブラック・ボックス
8.コーダあいのうた
9.アメリカン・ガール
10.アテナ

でした!
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