にねこ

少年メリケンサックのにねこのレビュー・感想・評価

少年メリケンサック(2008年製作の映画)
1.0
パンクかファッション・パンクかという問は、おおよその場合態度選択や好みの差異ゲームでしかない。例外的に切実さを問われるのは、当人や社会の経年変化でその理想の維持が困難になったにもかかわらず、要請され、他者に向けて潰えた理想をそのクソさに耐えながら振りかざさなければならないばあいである。
まあ、めちゃくちゃよかったんですけど、何が一番いいかといえば「侘しさ」ですよね。銀杏BOYZは回想シーンでアイドルグループやらされているし、遠藤ミチロウはスッピンで東北弁の優しげなおっちゃんとして一瞬出てくる。違和感なしに。パンクの死以外のなんなんだ。だからこそ、来年は死んでいるかもしれない崖っぷち中年ダメ人間バンドのメンバーが発する「おれら、本格的にノーフューチャーっすよ!」というセリフが生きてくる。
なにより、ここの評価をザッピングすると「下品」「きたない」「宮崎あおいがかわいいだけ」という感想が目につきますが、それだよ、それ。パンクは鼻つまみ者の音楽なんだから、むしろそういう評価になればこその名作でしょう。というわけで、私も評価は1.0です。
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