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東京クルドのditaのレビュー・感想・評価

東京クルド(2021年製作の映画)
4.5
@ 第七藝術劇場 42

まず、作品としてとてもおもしろい。明確な意思を持った編集と撮影、テーマの広げ方、難民申請の問題を知らなくても興味を持たせる作りになっている。主人公2人ともとても魅力的だし、日本で育ち、希望を持ち、悩みを抱える若者のドキュメンタリーとしてもとてもよかった。あとオザンは石森太二に似ていた。

と、冷静に振り返るのはここまで。



ほんまにクソやな…と何度も唇を噛みしめた。ケン・ローチの『わたしは、ダニエル・ブレイク』での市担当者の対応、あれの何倍もクソだ。そっちでなんとかしろ、それが法律だから、嫌なら帰れ、他の国へ行け…思い出しただけでも反吐が出る。入管の人たちは確かに仕事をしているだけだし、日本人である限り彼らの境遇は他人事だ。でも、他人事だからといって半笑いで人を蔑んでいいはずがない。法律の下ではなく法律を盾に難民(とは認められていないが)の生きる術を奪っていいはずがない。

知ることから始めよう、なんて綺麗事はもはや通じないのではないかとさえ思う。そして彼らの居場所を作るには世論しかないのではと思っている。今わたしがこの感想を書いている時点でのこの映画のマーク数は70人に満たない。0が1つ、2つと増えるようにみんなでこの映画を観て現状を広めよう。法律が正しく機能し、人の上に立つ制度ではなく人を下から支える制度になるようおかしいことはおかしいと騒ごう。
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