実在する歴史上の人物たちを全員アホとして描くことで全方位的にコケにしていく様は『サウスパーク』(97年〜)や『チーム★アメリカ/ワールドポリス』(04年)を彷彿とさせるが、建国神話を現代的なフィルターを通すことでギャグとして笑い飛ばそうとする姿勢は、どちらかというと『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』(75年)に近いかもしれない。
ビールが大好きなノー天気で筋肉モリモリの「アメリカ」と、紅茶が大好きで気取った歯並びの悪い「イギリス」という徹底的にカリカチュアライズされた両国がぶつかり合う様は、アメリカ独立戦争というよりかは知能指数の低い狂乱祭を眺めているかのようで、確かに観ていて楽しくはある。しかしその一方で、あまりにも大量のネタを詰め込みすぎた結果、全体的にとっ散らかった印象を受けなくもなかった。「とりあえず大量の具材を鍋にはぶち込んだものの、明らかに容量オーバーで全然火が通っていない」といえば分かりやすいだろうか。もっとも、そんな後先考えない大味なスタンスこそが、カギカッコつきの「アメリカ」っぽいとはいえるかもしれないが・・・。
端的にいって、本当にしょうもない作品である。しかしその反面、そんな作品を独立記念日に堂々と配信できるアメリカの「健全」な環境を羨ましくも思う今日この頃だ。ネタなら山ほどあるわけだし、日本もこういうアホ映画をどんどん制作しちゃえばいいのに。