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ファミリー・プロットのtjZeroのレビュー・感想・評価

ファミリー・プロット(1976年製作の映画)
3.5
”レジェンド”や”巨匠”という言葉は、多用すると安っぽくなりそうでレビューの中で使い過ぎないように気をつけているんですが、このヒトの場合は遠慮が要りません。
”サスペンスの~”アルフレッド・ヒッチコック監督の遺作であります。
A詐欺の霊能師、B誘拐犯…ふた組の犯罪カップルのプロット(陰謀)が絡み合っていきます。
興味深いのは、そのAとBの交錯が、ひかれ合ったり、ダマしたり、また離れたり…と男女のラヴ・ストーリーのように見えてくる所。
殺人をラヴ・シーンのように、キス・シーンをサスペンスのように撮ると評されるヒッチコック監督の面目躍如です。
全盛期の作品に比べると、洗練さとか華麗なテクニックとか、タイトな演出などは不足しているのですが、ヒッチ作品の骨組(=プロット)をむき出しに観せてくれるような面白さがあります。
キャリアの最後で、「私の作品の秘密はこれだよ」と中身をチラッと見せてくれた様なお茶目な小品です。
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