ナヴォット・パプシャドが監督・脚本を務めた、2021年公開のアクション・スリラー。
・ 『ジョン・ウィック』的な虚構性の高い世界観と『キングスマン』的な世代間・師弟間連帯を、『キル・ビル』的な作風と『ドライヴ』的なデザインで施したシスターフッド版『ラン・オールナイト』
・役者陣のスキルやユーモア満載のゴア描写もさることながら、アクションシーンの演出力が非常に高い。特筆すべきは、廊下、ボーリング場、図書館、ダイナーなど「その空間でしか為し得ないサスペンスフルなアクション」をちゃんと構築している部分。
・何段階にも重なったクライマックスは若干くどく感じた。
前述した通り本作はとにかく要素がてんこ盛りで、まずはそこが単純に楽しかったです。初登場時の主人公サムの風貌と佇まいは『キル・ビル』でのそれとは異なるもう一方の梶芽衣子リスペクトに溢れていますし、タランティーノお墨付きのオタク監督っぷりは全編に渡って炸裂しています。実際タランティーノも本年度お気に入り映画の一本に本作挙げていますし、今後はナヴォット・パプシャド監督という難しい名前も覚えておこうと思います。個人的にはサムとエミリーの関係をもう少し掘り下げて欲しかった、つまりもう少し『ラン・オールナイト』成分を強めて欲しかった感じも致しますが、サクッと劇場に入ってお腹いっぱいで劇場を後にするという「正午のファミレス系映画」としては文句無しの一作ではないでしょうかね。
ちなみにカレン・ギランは、オリジナルのギランとクローンのギランが対峙するという主演最新作『デュアル』が10月7日に公開を控えているそうです。いやぁギランが遂に一人二役とは、ここまで来るともう紛れもないアクション俳優ですね。
