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ギャング・オブ・アメリカのregencyのレビュー・感想・評価

ギャング・オブ・アメリカ(2021年製作の映画)
3.0
マイヤー・ランスキーといえば、相棒のバグジーことベンジャミン・シーゲルの方にスポットが当たりがち。派手で粗暴で破滅的な人生を歩んだシーゲルに比べると、小柄で用心深い性格のランスキーはドラマの主役にし辛い面がある。
そこへきての、ランスキーを主役に据えた本作。本業のギャングは勿論、ユダヤ人としてナチ狩りに手を貸していた一方で、家庭問題やシーゲルとの友情の亀裂に苦悩するといった様々な顔が浮かび上がる。
サム・ワーシントン演じる、ランスキーにインタビューを試みる記者の立ち位置が弱いせいか、正直ストーリーに目新しさはない。しかしながら、そのランスキーをハーヴェイ・カイテルが演じるという点は見逃せない。
過去作で色んなバリエーションのアウトサイダーな役を演じ、シーゲルが主役の『バグジー』でも実在のギャング役だったけど、ランスキー同様に東欧系ユダヤ人の血筋を引いているだけに、どうしても本人と重ねて観ずにはいられない。80代に入ったカイテルの老境演技は、彼の映画を長年観てきた人なら感慨深いものがあると思う。
「この世は白と黒ではなく、グレーの濃淡で出来ている」―ただのギャングではなかったランスキーだからこそ、この言葉は説得力がある。

より詳細なレビュー↓
https://cinemarche.net/drama/gang-of-america-matsu/
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