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レッド・ロケットのmat9215のレビュー・感想・評価

レッド・ロケット(2021年製作の映画)
4.0
クズばかりが登場する映画は面白い。ダメダメなプアホワイトを描く映画群の中でも、本作は準巨匠ウィリアム・フリードキンの『キラー・スナイパー』(原題の『Killer Joe』がイカしてる)に並び立つ。主人公サイモン・レックスのクズぶりは全編を貫いている。とくにアッシー君にしている従順なイーサン・ダルボーネに対するふるまいがひどい。ダルボーネがショッピングセンターでイタぶられた時には庇うどころか後で非難するし、一緒に大事件を起こしたときは「おら知らね」を貫き通す。妻とその母親もただ可哀想な貧乏人ではなく、レックスが去って行くと知るやカネをむしり取る。16ミリフィルムの粒子、うすら寒いパステルカラーの家屋、殺伐とした製油工場がクズたちが右往左往する悲喜劇を際立たせる。スザンナ・サンは、『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』でホンカが思いを寄せるエロい少女に通じる。こちらはドイツのクズを描いた怪作だった。
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