#twcn
とても窮屈でとても自由な映画。
プロパガンダ映画に見せかけた風邪っぴき男のバイオレンスコミカルファンタジー。
原題が”Petrov's Flu”(風邪っぴきのペトロフでいいかな?)
いつインフルになったんやろw
2021年制作の映画だからもうCOVID-19でもええんちゃうのん?とも思いつつw
日本版の予告が今のロシアウクライナ情勢に合わせられた作りになってますね。
クリスマスシーズンのロシアが舞台。
※クリスマスではなくヨールカというロシアの年末年始の子どものお祭りということがGoogle調べにより発覚!でもツリーも飾ってるしサンタもいるやんw
ゴホゴホと咳をしまくりつつバスに乗る主人公ペトロフ。
今だったら避難轟々な感じ。
小粋な乗車賃徴収のお姉さんへ金を払ったにも関わらずいきなりバス停で知り合いに引きづり降ろされたかと思ったら、カラシニコフを手渡され誘拐してきた政治家?金持ち?ホワイトカラー人種をあっという間に壁際で銃殺。
もちろんまだ停まっていたバスの乗客の目の前で。
陽気なバスのアナウンス。
席を譲り合う市民に女性差別主義やペドフェリア。
政治に意を唱える人に実力行使で殴り合う人々。
ロシアのバスって"子連れ席とかあるんやw
このバス1台だけで色々な”ロシア人”が乗っている。
するといきなり保安庁を名乗るネオナチ風情の男がまたもペドロフを吹きづり降ろし、今度は霊柩車で誘拐。
すぐに捨てられるんですけどw
この辺から、ん?という様相を呈してくる。
え?
コメディ??
ちなみにネオナチ風のおっさんがなぜ霊柩車に乗ってたかというと「誰も霊柩車を怪しんだり止めたりする奴はいない」とのことで別に自分の車でも友達の車でもない様子。
捨てられるしw
ちなみにこの霊柩車に乗っていた"遺体"は明らかにユダヤ人
この遺体が後々キーとなる。
(ユダヤ人に見えたんやけどロシアの人のラッパーらしい)
一緒に捨てられた保安庁を名乗るおっさんに連れられ、憂いを秘めながらタバコを吸うペトロフ。
おっさんはその後ろの4時間しか営業してない酒屋で強盗してきた様子がコミカルに描かれます。
おっさんはペトロフに連絡先を聞くがペトロフは「携帯を持っていない」とはねつける。
「偶然会う分にはいいが、連絡は取り合いたくないってことか」と真意をつく。
誰と誰が知り合いで誰と誰が知らない人で誰と誰が味方で敵か全くわからない。
わかるのはペトロフがひどい咳をしていて本人曰く"インフルエンザ"ってことだけ。
医者も一応インフルちゃう?的なこと言ってくれてるからインフルでいいのかな。
ところ変わって図書館司書のペトロワ。
わたしの知っている図書館と違って、読書会や討論会が自称"詩人"によって盛んに催される。
議論も盛んだ。
「あなたの詩は長い!」「それだけの尺がいる!」
ギター演奏なども行われたりするが「党集会のよう」と揶揄されたようなポリティカルな会話は為されない。
というかこの映画全体で政治的な会話が出てくることは出てくるんやけどほとんどが愚痴。
夫婦間の愚痴、姑に対する愚痴、夫・妻に対する愚痴程度で映画全体としてセリフで語る政治的なメッセージは挟み込まれない。
向こうでは熱い議論が繰り広げられ、本棚を隔てたコチラ側では熱いセックスがめくるめく、というよりはそれこそ舞踊の舞台のように1つのセックスがどんどん場面転換してゆく。
しかしアチラの棚の向こうではレイプまがいの行為が…
同じ図書館の同じ時間なのにどんどんカットと動きが切り替わり挙句殺傷沙汰に飛び蹴り&パンチの嵐ww
いきなり香港映画さながらのアクションがw
飛び蹴りが出てくる映画にハズレなしはロシアでも通用するのか?!
どうした?!って感じなんですけど、なんか変なのこの映画w
演出というかカットというか画面内設計とか…「ん?!」と頭に浮かぶ。
え、何この映画w
面白いんじゃ…
場面転換も唐突でどんどん切り替わるw
テンポがいいとかではないのよ146分もあるんやしw
ペトロワはどうやら眼鏡を外すと攻撃的になるらしく誰からかまわず血がドバドバになるまで殺りきるらしい。
てかもはやプロなんじゃww
登場するハンドガンもちゃんとトカレフでした★
最近映画で見るのってベレッタやグロックなどのオートマ連写銃が多い中、シングルアクションのクラシック銃がロシア映画で見れて嬉しかったです。
ここのシーンに限らず血がドバドバダラダラ〜です。
別のシーンですがだけど爆発とかもあるので、企画段階である程度レイティングが厳しくなることは覚悟して作っている模様。
裸や局部のアップが写るシーンもめっちゃ多く一切モザイクがなかったし。
てかペトロフの子供の頃の回想シーンでは親が裸で暮らしてるんですよ。
寒くないのかな?と思いつつ、気づいたのが出かける時に下着から着込まないといけないのでめっちゃ時間かかるってとこツボでしたw
んで、ペトロワには7歳くらいの息子がいてゲームばっかやってるクソガキなんですけど、熱がどんどん上がってきて心配しているとそこになんと!
こういう形で話がつながってくるということですね!!
全然そこまで頭回らなかったよw
登場人物少ないんだから気付けよわたし!
子供の熱が下がらず看病する瞬間、彼の顔に青い光がさします。
赤い手袋とセーター、カラフルなマフラー、毛皮の帽子に白い天使、鉄色のナイフ(当たり前w)カラーリングにも意図があるように感じます。
青い衣装のサンタクロース(ヨールカだからまた違うのかな?)
青い衣装の"雪むすめ"(サンタクロースの孫?)
青い炎、青いバスetc...劇中歌われる歌にもしきりに"青"という単語が並ぶ。
そしてヨールカ(クリスマス)というある意味幻想的なイベントを大きな軸として置かれているためか宇宙の話が出てくる。
ペトロワの息子がヨールカ(クリスマスパーチー)にソニックの仮装してたからわりと最近の設定?なのかしら??他にもエルサやスパイダーンやスーパーマンのコスプレのガキもいたし。
もう一人の登場人物。
ペトロフの友人、小説家のセルゲイは渾身の一作を出版社へ持ち込むものの、酔っ払った編集者に細かく的確な指摘を受けるも不満気な様子。
友達であるペトロフはずっと咳してて頼りにならないし、どんどん神経質が増してゆくセルゲイ。
持論を捲し立てながらも自宅の照明(低い)にいちいち頭ぶつけながら話すコミカルさとその後の展開、そしてさらにその後のペトロフの行動も…笑っていいのか驚いていいのかw
これコメディやんww
他にも女性にキスしようとして振り返ったら泥パック中とか、そのままSEXになだれ込んでたら普通に子供が部屋に入ってきて話しかけてくるとかw
いきなり「オイルで汚れたハンサムでムキムキの自動車工のお兄さんがシャツを脱ぎホースで水をかけて洗う」というサービスカットがありますw
やっぱコメディやん!
でもお兄さんの胸にはしっかり銃痕が。
まぁ、そのお兄さんはセルゲイの小説の登場人物でペトロフの彼氏って設定ですぐ出てこなくなるので、目の保養でしたありがとうございます!!
全体的に暗い(寒い)場面と不思議アート場面とコミカル場面がコロコロ切り替わるので見る人のテンションが定りません。
"変な映画を見ている"と思うのが1番楽かもw
また時は遡り今度はモノクロ画面に切り替わり、若いカップルが登場する。
ここからモノクロになる。
登場人物はユリーナとサーシャ。
ユリーナは英語の家庭教師として保守的な家庭で育ったサーシャと結婚して都会に出て暮らそうと提案するがあまり乗り気では無い。
そこで彼がヨールカ(クリスマスパーチー)でユリーナに”雪むすめ”の役をしてくれと頼む。
子供が苦手なユリーナは一度は拒むものの引き受けることに。
サーシャの演劇仲間とつるむにつれ、ユリーナのある変化が訪れる…それは悲劇か幸運か?
そしてユリーナの物語とペトロフの物語がどこで出会うのか…
気になったのが、公衆浴場でみんな身体をちゃんと拭かないという悲劇…風邪ひくよロシアって寒いんでしょ?
色々ちょっと真剣に見れば見るほど、ん?変じゃね?
おかしくね?
てか笑っても…とw
気が抜けない!
あとめっちゃ気になってる”垂直の虹”とは?
ちなみにロシア・フランス・ドイツ・スイス合作映画。
監督は”LETO”のキリル・セレブレンニコフ。
ロシアではなんか演劇系の国からの支援金を横領したかなんかで軟禁中とのこと。
キャストはロシアの方もウクライナの方もいらっしゃる。
今回の戦争に伴いメッセージなど出されているので、今、興味を持っていただいて是非!
新
日本語字幕:守谷 愛
試写