掛谷拓也

MEMORIA メモリアの掛谷拓也のレビュー・感想・評価

MEMORIA メモリア(2021年製作の映画)
3.5
ストーリーはこの映画では特に重要でない。映画の冒頭で、何台もの車のクラクションが同時に大音量で鳴らされて聴覚過敏気味の自分には辛すぎると思ったが、聴覚を通じて意識を変性させることが映画のテーマだと気づいた。大きな低い音が生活の中で聞こえるようになってしまった主人公。それもいつどんなタイミングでその音が聞こえるのかわからない状態で、観客もその音がいつ鳴るのか常に身構えた状態で最後まで映画を観ることになる。謎解きだが、謎解きそのものより聴覚を通じて意識が変性するということを経験するという得難い映画体験だった。映画を見終わってから数時間は意識の変性は続く。実際、映画のあとバーに行ったが、聴覚が過敏になっていて音に対する解像度が高い状態が数時間続いた。