シネマの流星

パリ13区のシネマの流星のレビュー・感想・評価

パリ13区(2021年製作の映画)
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単に性欲を満たすために相手の身体を借りているだけの群像劇。セックスは愛を確かめ合う行為と、形を変えたマスターベーションであることを問いかけている。

マッチングアプリで男を呼び出しアルバイトの休憩時間に SEXする台湾人のエミリー。

トラウマを抜けようやく相手を受け入れた瞬間、その男を捨てるノラ。元ポルノ女優とのSkypeだけが自分の真実を託せる。

接触によるコミニュケーションを拒否し、SEXをするほど心が離れていく。その瞬間楽しければそれでいい現代の消費社会をえぐりとった視点の見事さ。

だからこそ最後は恋愛に落ち着かず、ドライなまま突き通してほしかった。凡庸な愛を説いてしまったのが心残り。

映画はどこかに着地しなくていい、むしろ漂流させてほしい。
シネマの流星

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