Ayumi

わたしは最悪。のAyumiのレビュー・感想・評価

わたしは最悪。(2021年製作の映画)
4.0

最初から「これ私じゃん」と思えるシーンばかりで、主人公ユリヤに共感するやら自分の過去を思い出すやら、気持ちが忙しかった。

序盤で共感したのは、友人とのパーティーで「周りに子どものいる友人はいないの?」と聞かれたときの気まずいシーン。アクセルはそろそろ考えていい頃では?と言い出すが、ユリヤは「子どもはいつか欲しくなるかもしれないけれど、今ではない」と言い返す。

ユリヤも、自分が子どもを持ってもおかしくない歳だとは知っているけれど、「何者かになりたい、だけどまだなれていない」という焦りが彼女をいらつかせている。

そんなときにパーティーで出会ったアイヴァンは、彼女の感性を誉め、自由を尊重してくれる完璧な人に見える。ユリヤはアクセルと別れることを決め、アイヴァンと同棲を始める。ただ、彼女に思いもよらぬ出来事が起きたことで、彼女は再びアクセルのもとを訪れる。

主人公が、「女性はこうするべき」「浮気はダメ」という世間の常識をことごとく疑ってかかるのがとてもおもしろかった。きっと疑問を持たずに生きていけば人生はもっと楽なのかもしれない。でもユリヤはそうではない。今のキャリアが本当にやりたいことなのか、目の前のパートナーが自分にとって適切なのか、どうしても考えてしまう。アイヴァンに「あなたといるとありのままでいられる」と言ったときのユリヤは幸せそうでも、その次の瞬間には彼女の気持ちは別のところにあるのだ。

最終章のユリヤの選択は少し分かりにくかったけれど、アイヴァンを見たときの「良かったね」と言いたげな表情に救われた。
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