萌

わたしは最悪。の萌のネタバレレビュー・内容・結末

わたしは最悪。(2021年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

言葉にできないというか、言葉にしたくないほど、心に痛いほど突き刺さった。気付いたら呼吸が浅くなって苦しくなったくらい。

仕事も恋人も移り気で、側から見たら何やってるんだって感じなんだけど30手前になった私には刺激が強すぎたよ。
共感したっていうわけじゃなくて主人公の気持ちがヒリヒリと心に伝わり、手に取るようにわかったから。たぶん20代前半までにこの映画を観てもハマらなかったと思う。

芯がないように見えて、本当はしっかり自分を持っているユリヤ。譲れない部分があって、幸せのためなら大事に想ってくれている恋人にも別れを告げる彼女はとっくに精神的に自立していた。
何をしてもハマらない、しっくり来ない、そういう時期ってあるものなんだ。幸せのために模索するのは人間の運命。

ハッとする会話の嵐。闘病中の元カレと話しているときが一番辛かった。一番大事な関係だった、君は最高だと言われたときどう思ったんだろう。きっとどんな選択をしても彼女は前を向き続けるんだと思った。

自信がなくても、人からどんなふうに見られようとも、自分を真っ当に生きれば最高なんだな。感情に素直に。会話と経験。伝えないと伝わらない。

ラストのユリヤは恋人もおらず、部屋で1人黙々と仕事をしていたが、その表情は見違えるほど軽やかだった。

若くして色々悩むっていう映画はたくさん観たけど、30歳で地に足付かず模索する女性の映画は初めてかも。近いのはフランシス・ハかな。
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