いの

コンパートメントNo.6のいののレビュー・感想・評価

コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)
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監督の前作品は、読書で例えるなら読後感が唯一無二。読書中に味わっている感覚と、読後に心に染み渡らせるときとの感覚の相違。凡庸だと思っていたらそれは大いなる勘違いでいつのまにか静かな良作へと昇格しているというような。それはうれしいこと。それはよろこばしいこと。オリマキ君はそんな作品だった。



今作もそうなるといいな。そうなったらうれしいな(まだそうなってない)。まるで自分が列車に乗って旅してるときと同じように私はウトウトしては時折目が覚めた。いつの間にか仲良くなっとるし、いつの間にか○○しちゃってるし、いつの間にか食堂行っちゃってるし、いつの間にか列車から降りちゃってたし。ペトログリフって何なんだ! でもウトウトしてたこと後悔してないし、また観てもそうなっちゃう気がする。いつもガラガラなのに何故か混んでた映画館。それはよろこばしいこと。頭の揺れ具合から前の座席の方もウトウトしてたことがわかる。更にその前の座席の方も同じく。もしかしたらそれもよろこばしいことなのかもしれない。偶然居合わせた観客と同じ体験を分け合うこと。それはこうやって記すことで出来事として心に刻まれる。
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