Vocalise

コンパートメントNo.6のVocaliseのレビュー・感想・評価

コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)
4.2
旅の出会いの顛末
これも一つの正解と
静かに込み上げてくるものがありました

他のユーザーの感想・評価

たまご

たまごの感想・評価

3.9
今の時代、特に日本では成立しないであろうロードムービー。不器用な2人の手探りな出会いは、今や懐かしいような感覚だった。

表も裏もないシンプルなリョーハ(秘密の1つでも欲しかった)と、明らかに無理してたラウラ(マイノリティであるラウラにとっては、そうせざるを得なかったのだろうけど)。

居場所は無理して作るものではなく、自然と見つかるものなんだろうな、と思えた。
そー

そーの感想・評価

4.3
旅をするこによる高揚感と解放感、そしてそんな中でも生きることに付きまとう煩わしさがない混ぜになる感覚がいい。
素敵なことや関係は自分で作っていくんだってことをしみじみ考えさせられます。
リョーハの、「目の前のことに集中しろ。一期一会だバッキャロー!」ていう感覚は極端だけど大切なことですね。

旅のワクワクと、列車を降りる時のちょっと寂しい感じ、女車掌の実在感。いい。
極寒の中で吸っている煙草、うまそう。
素直に映像に感動してしまった。
旅の始まりのシーン。列車が発車したその瞬間。不意にもわたしの心は、見知らぬ風景に吸い込まれてしまった。北の国では空も人間もどこか暗さを含んでいるが、その分小さな灯が灯ると、身体がじんわりと温かくなるのを感じる。窓の外では常に雪が降っていて、ガラスについた水滴が光を取り込んで輝く様子が印象的だった。
最後はどうしても笑いが止められなかった。
夜、車の中でロシア音楽を聴きながら家に帰った。また映画館に行こう。
savage

savageの感想・評価

4.3
狭い寝台車で、寒々しいロシアの旅。
同室にはデリカシーのかけらもない粗野な男。
期待してた旅とは程遠く、空回りしながら北極圏へ。
人生の例えにも感じます。

旅をしているうちに、主人公の価値観が明らかに変化していくのが面白かったです。
孤独がテーマでもありまして、その孤独をしっかり受け止め成長したように見えましたね。

撮影が素晴らしく、観ているこちらはその風景を堪能しました。…実際は寒くて大変だろうな。
不便な旅ですが、寝台列車と車内食堂は魅力的。

微妙で複雑な胸の内をかかえた男女2人の繊細な演技がグッド。生々しい演技でした。
寝起きの寝癖がついたリアルな表情がいい。

非常に運命的で面白かったです。同室があの男でなく、毒にも薬にもならない人だったら、空回りのまま旅が終わってた可能性もあるし。
雪の中に凍りついてた目的地も、思うほど感動出来なかったかもですが、その苦労した思い出は忘れないでしょう。
寒いけど、熱いものがこみあげるいい映画でした。
しま

しまの感想・評価

-
今よりもずっと旅が難しい時代に、よそ者に優しくない土地を1人で旅する 列車や街や人々はビフォア・サンライズに出てくるそれとはまったく異なっていて、錆びていて、色褪せていて、凍っていて、疲れを感じる 粗野な男との出会いはマジで最悪だったけど、しだいに溶け合うふたりはまさに現実を生きていた、旅をしていた、こういう旅をしたいと思う
大事なところでせりふが無いのが本当に好きだった 感情がむき出し、ってわけでもないけど、2人の言葉にはならない感覚がヒシと伝わってきた、去り際なんてもうヤバイ
ウクライナ侵攻後の頭で見るとロシアのプロバガンダ映画?と思えてしまう(フィンランド人(ロシアへの憧れ、裏切り者)とロシア人(粗野だが情に厚い)の関係性のメタファー)。
そば茶

そば茶の感想・評価

4.3
ベタな話かな?と思いながら観ていて、そういう一面もあるけど、全く想像を超えているところもいくつもあった。わかりやすいかと思えば、描かれていない余白もたくさんあり、すごくいいバランスで成り立っている映画だなと思った。

旅と人生は似ていると言われている場面もよくみるけれど、この映画はまさしくそういった内容だった。

苦しい時に観ると救われる人も多そうな映画。よかった。

最近忙しくて観たい映画はたくさんあるのに全然観れていなかったけど、改めて映画の楽しさを実感した。

どうでもいいけど、上映前のマスク着用などのコロナ対策の注意喚起動画がなくなっていて、コロナ禍でたくさん映画を観るようになった自分としては、ちょっぴり寂しい。
いの

いのの感想・評価

-

監督の前作品は、読書で例えるなら読後感が唯一無二。読書中に味わっている感覚と、読後に心に染み渡らせるときとの感覚の相違。凡庸だと思っていたらそれは大いなる勘違いでいつのまにか静かな良作へと昇格しているというような。それはうれしいこと。それはよろこばしいこと。オリマキ君はそんな作品だった。



今作もそうなるといいな。そうなったらうれしいな(まだそうなってない)。まるで自分が列車に乗って旅してるときと同じように私はウトウトしては時折目が覚めた。いつの間にか仲良くなっとるし、いつの間にか○○しちゃってるし、いつの間にか食堂行っちゃってるし、いつの間にか列車から降りちゃってたし。ペトログリフって何なんだ! でもウトウトしてたこと後悔してないし、また観てもそうなっちゃう気がする。いつもガラガラなのに何故か混んでた映画館。それはよろこばしいこと。頭の揺れ具合から前の座席の方もウトウトしてたことがわかる。更にその前の座席の方も同じく。もしかしたらそれもよろこばしいことなのかもしれない。偶然居合わせた観客と同じ体験を分け合うこと。それはこうやって記すことで出来事として心に刻まれる。
muninn

muninnの感想・評価

3.6
他者との出会いを通して内なる自分と対峙する。劇中の風景は極寒の雪景色がほとんどだが、それとは対照的に時間が経つにつれてラウラとリョーハとの関係はじんわりと熱を帯びていくような、そんな作品。
Mak

Makの感想・評価

3.4
フィンランド出身の女性が彼女と離れて1人旅を電車でするのだが、最初は笑顔もなく、彼女と離れて寂しいけど、同じコンパートメントのロシア男性と交流していく中で、自分を知り、ロシア男性との楽しい時間を楽しみ、最後は笑顔になる映画。
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