みーちゃん

かもめ食堂のみーちゃんのレビュー・感想・評価

かもめ食堂(2005年製作の映画)
3.9
世界幸福度が5年連続No.1のフィンランド。残業が無く、有給休暇の取得はほぼ100%、長期休暇が当たり前。なのに1人あたりのGDPが日本の1.25倍で経済と両立している…。先日、そんなフィンランドに学ぶワークショップに参加する機会があったので、遅ればせながら観ました。

起承転結が良くて何度でも観たくなる。そして、なるほど!と唸った。私はこれを、所謂ほんわか、のんびり、ゆる〜い、なんて全く思わない。だってサチエは凄い人だもん。来客がない日々が続いても平常心で準備を怠らず、ワンオペで回せるよう合理化し、目先の利益で経営方針がぶれることなく、シナモンロールをメニューに加える柔軟性を持つ。

プライベートに立ち入り過ぎないのに面倒見がよく、子供の頃から継続している合気道や水泳をルーティン化して心身の健康を保つ。これって簡単なことじゃない。しかも決して無理はせず"自分らしく"できているのだから尊敬する。

つまり、フィンランドに住めば自動的に幸福が訪れるわけではなく、それらを積み重ねた結果、気づいたら、かけがえのない友人や隣人を得て、食堂は繁盛店。という形で自分に還ってくるストーリーに大いに納得した。

改めてマリメッコやイッタラなどの北欧デザインが素敵で、特別な日のためではなく、日常を少し豊かに楽しむために在るんだなって実感した。

※もたいまさこが演じるマサコのキャラクターが絶妙すぎて、カモメに餌を投げる登場から面白いのだけど、終盤で片桐はいりに「森でキノコをたくさん採ったのに落としたみたいで、いつの間にか無くなっていた」と話すシーンが笑。