20歳の頃に『めがね』を観たが、時間の流れが遅く、退屈で、つまらなかった。
荻上監督x小林聡美映画は、大体同じ感じだと聞いていて、今まで見てこなかった。
今になってみたら、すごく面白かった。
『かもめ食堂』には、ゆっくりと時間を生きることが描かれている。
ゆっくりでもいい。
そんなに自分が想像しているような速度で、生きることは難しい、といわれているようだった。
この映画をみて、あらためて思い出したことがある。
映画も本と一緒なんだな、ということだ。
観るタイミング(本なら読むタイミング)が、あるということ。
二十歳の頃の私には、退屈にしか見えなかった時間。
この映画は、面白い言い回しも、刺激的な事件もない。
その退屈な(だと思われた)時間を過ごすということを肯定する映画だ。
そして、私はひそかに、『かもめ食堂』は、小林聡美が主演を務めているが、
映画の後半部分しか出ていない、もたいまさこの映画だと思う。
もたいまさこばかり、みてしまう映画だ。
もたいまさこが、森でキノコ狩りをするが、ふと見上げた木々たちが素晴らしかった。
そして、私は新宿御苑にある、ものすごく背の高い木々を見上げたくなった。
今のところ、『パンとスープと猫日和』『かもめ食堂』『めがね』を観たが、『かもめ食堂』が一番面白かった。
荻上監督作品の面白いところは、同じテーマを描き続けていて、出演者がお馴染みであるところだと思う。
『かもめ食堂』では、小林聡美演じるサチエが、丁寧に生きている人物として描かれ、もたいまさこ演じるマサコが、人生に迷っている人物を演じているが、『めがね』では、それが逆になっている。
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2019.9.20 Prime Videoにて。