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人生のコンマのkuuのレビュー・感想・評価

人生のコンマ(2016年製作の映画)
3.6
『人生のコンマ』
原題:O Vendedor de Sonhos.
英題:The Dreamseller.
製作年2016年。上映時間98分。
原作はブラジルの精神科医でありベストセラー作家でもあるアウグスト クリ(精神科医および科学者。ブラジル国内で累計3000万部を超えるベストセラーを多数執筆してる。日本語翻訳で『人間イエスを科学する―キリストの心理分析』というのは読んでます)。

生きる望みを失い、自ら人生の終止符を打とうとする著名な心理学者と、彼の前に突如現れたホームレス然とした謎の男、2人が出会う。。。

作中のセリフより抜粋
“The sensitive suffer more; but they love more, and dream more.”
(繊細な者はより苦しむが、より愛し、より夢見る)

今作品の原題は『O vendedor de sonhos』、日本語に訳すと夢を売る人って意味だそうで、英題のドリームセラー、夢や目標達成を邪魔したり阻害する人として、ドリームキラーってのは聞くが、ドリームセラーは会社名やらでしかイマイチぴんとこない。
個人的には観終えて、原題が一番すっきりくるかなぁとは思う今作品。
確かに、『人生のコンマ』も良いが二番煎じに感じてまう。
と云うのも、今作品には全く登場はしませんが俳優のマシュー・マコノヒー(2013年の映画『ダラス・バイヤーズクラブ』はよかった)が述べた名言
"Life is a series of commas, not periods."
(人生はカンマの連続さ、ピリオドではなくね。)なんて言葉を目にしたことがある。
日本の配給会社のタイトルをつけるヤツもどっかで目にしてたん違うんか?と疑いたくなる。
余談ばかりですが、このマシュー・マコノヒーの言葉はかなり刺さる。
今作品のセリフも刺さるとこがしばしばありましたが。
今作品のタイトルの『人生のコンマ』は意味深。
, ← これ、comma(カンマの方が近いかな)は、文章を読みやすくするために、一文の区切りのいいところにつける読点のような存在。
このコンマで一文が終わることはなく、その後ろに文が続いていく。
方や、似たようなのに、
. これ、period(ピリオド)てのがある。
これは文末につけて、その一文を終わらせる句点の存在。
せやし、コンマは文章において、区切りや休憩で、ピリオドは終りやとなると云ってもエエんかな。
マシュー・マコノヒーは、
一生涯において区切り、差し当たっての停止は何回もあっても、命つきるまでは終わらへんといってんのやと思う。
この、マシュー・マコノヒーの名言がなきゃ、邦題がオリジナルなら、まさに今作品の内容に的を得てるとは思う。
今作品に込められたメッセージてのは、公開された当時よりも、さらに『今』に通じるものがあるんちゃうかな。
消費主義や物質主義は、これまで信じられてきたような重要なものじゃない。
コロナ禍でのロックダウンや強制的な規制とかは、海外に比べ日本においてはそないキツくないかもしれない(制約は沢山あるが)。
しかし、このコロナ禍では本当に大切なものに人々の目を開かせた。
今作品はそれを巧みに物語っている。
今作品について何も知りませんでしたが、タイトルでふと目が止まり視聴してみました。
個人的には棚からぼた餅って感じで、本当によかったです。
今まで見たことのないような映画だったかな。
キャスティング、撮影、演技、その他もろもろが悪くなかった。
また、今作品の核心は、力強く、巧妙に、美しく解明されたメッセージ、すなわち、多くの人間が基本的な人間性を失い、権力者の多く(ほとんどか)は権力にしか興味がなく、大義がない、ということにあるのだと描く。
夜のニュースを見ているときに息をひそめてつぶやくような感情が、映画の作品の中で表現されているのを聞くのはあまり慣れていないし、良い意味で驚かされた。
セリフの数々がありきたりだと思ったとて、それが真実だと云える。
ただ、自己啓発に分類され無くはないし、いつもならサクッと見れる上映時間に喜ぶが、今作品に限っては、上映時間が短いのが玉に瑕に感じた。短い故に重い言葉も軽くなってしまってるのが残念でならない。
また、現実とよく似た人生を歩んでいる登場人物ばかりで、単なるフィクションのひとつに過ぎないと思はなくはない。
でも、それ故に親近感もあるのはたしかやし、個人的には好奇心を刺激されました。
物語で、自分の正体を隠すために匿名性を利用する男『夢を売る人』の人生を描いている。
夢を売る人は『自分の使命は、自分の置かれている状況に絶望し、苦しんでいる人たちに夢を売ることだ』と云う。
取り返しのつかない損失の結果として何らかの精神的な病を抱え、あるいは社会的に認知されていない、社会の周縁で生きる危機的状況にあるすべての人に手を差しのべる。
って感じやけど、なんせ上映時間が短いしエピソードが少なすぎるし、詐欺師のようにもうつらなくはない。
弟子と云うよりも慕う人たちの中には、映画ではあまり主人公や登場人物にはなれないような人たちが出てた。
そんなとこは繰り返しになりますが親しみさえ覚えたし、ソクラテスや賢者と呼ばれた人たちの多くがこないな人やったんかなぁなんて想いも馳せれたかな。
個人的には結構刺さるセリフもあり、面白い作品でした。
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