広島カップ

リバー・ランズ・スルー・イットの広島カップのレビュー・感想・評価

3.5
黄金に輝く川をカヌーで下った事があります。

秋の日の夕間暮れ。
ある清冽な川を「今日は何処の川原でテントを張ろうか?」と考えながらパドルを操っていると、川が不意に大きく蛇行し目の前の視界が大きく開けました。
その時ちょうど艇の進行方向に太陽が沈んでいくのが見え、私の目の前の川面を黄金色に染めたのでした。
目を細めて嗚呼美しいなあと思っているとあることに気がつきました。
川面に魚があちこちで跳ね始めたのです。
夕方に羽化する羽虫を狙って川魚達の夕飯の時間が始まったのでした。
ライズと呼ばれるやつです。
本物を見たのは後にも先にもそれ一度きり。
艇の周りで鱒系の魚が次々に跳ねるのには感動しました。

そんな美しい川の記憶を呼び起こしてくれる作品です。

それにしても本作は川の匂いが強い。
あなたは普段どこで遊びますか?というアンケートを取って円グラフにしてみると、海系の人、山系の人、タウン系の人あるいは家系の人は各々広い面積になると思いますが、川系の人は線のごときかと思います。
この作品を観る人が増えると川系の面積が拡大しそうです。
完全に川へ誘う作品です。
広島カップ

広島カップ