クレセント

リバー・ランズ・スルー・イットのクレセントのレビュー・感想・評価

4.5
この物語の果てには何があるのだろう。この家族に何か不穏な兆候が起こるのではないかと思っていた。思った通り。母の嘆き。父の落胆は計り知れない。それが家族というものだから。

彼は言う。私は新しい旅立ちが待っている。愛する女性と共に旅立つのだ。

何故助けが必要な人ほど差し伸べる手を拒むの、と女性は聞く。
涙ぐむ彼女の瞳をそっと拭きながら、
見せたいものがある。読んで欲しい。どう思う?
シカゴに行けるなんてすごいわ、とはしゃぐ彼女。
だけど迷っている。
モンタナはどこへも行かないわ。
君と離れたくないんだ・・・
彼の熱いまなざしを受けて、彼女は彼の胸に飛び込んでいった。

全編を通して川のせせらぎの音が耳から離れない。今はもう私しかいない。
しかし、父と弟と皆で釣りをしてきたことが一生の思い出となる。

川面(かわも)に映る日の光がB.ピットの瞳を一層キラキラとしたものにして、自らの遠い日の思い出が蘇る。
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